ピストンエンジンは永遠か!な?

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ブリーザーバルブ

2005年11月03日 | ハーレーの構造

TCエンジンでは廃止されてしまったブリーザーバルブは、ナックルからエボまで機能はそれぞれのタイプのエンジンでは多少異なりますが基本的には同じ構造です。P1010057kase

これはショベルエンジンクランケケース右側のギアカバー内部の写真です。

カムシャフトのギアはクランクのギアの2倍の大きさですから回転は半分になります。ブリーザーバルブはクランクと同じ回転ですね。

この部屋は完全ではありませんけれど、クランク室と分離されています。

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普段は隠れてしまう裏側の写真ですが、これはギアカバーという無粋な名前が付いていますけれど、いくつかの大切な役目をしています。 

クランクの右端の支持とオイルライン、カムシャフトの支持、点火系のコンポーネントの取り付け部そしてブリーザー室の一部と多彩な機能なんですね。

赤い矢印がブリーザー圧力の流れです。ブリーザーガスオイル飛沫になって混じっていますので、あちこち複雑な経路をたどってガスオイル分離させなければなりません。

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ブリーザーバルブが入っている部屋にはこのように開口部があり、バルブが回転してそれぞれの機能を果たします。

                       

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ブリーザーバルブにもこのように開口部が設けられています。エボ以降は材質はプラスティックに変更されています。ショベル以前はこのようにスチールなのでマイレージが多いとクランクケース側がキズキズだらけになってしまいますが、社外品ではバルブのオーバーサイズが設定されておりケース側を研磨すると復活させる事ができます。

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これはS&S製のブリーザーバルブです。

矢印の穴が長くなっていて、ブリーザー室のオイルを回収する時間を長くして、ブリーザーからのオイル流出を改善できます。

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これはエボのブリーザーバルブです。ご覧のようにプラスティック製ですね。プライマリーのオイルを回収する仕事から解放されたので網目が粗くなっています。

稀な例かもしれませんが、ヒドいオーバーヒートにより一部が溶けてしまって、破片がギアに噛み込んでしまいご覧のように欠けてしまいました。ハードな乗り方をする人は金属製に取り替えたほうが良いかも。

*ここからピストンの動きとブリーザーバルブの関連を説明します。

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ピストンは上死点を過ぎ下がりつつありますので、クランク室の圧力は上がろうとしています。

クランクケース開口部Aブリーザーバルブ開口部 大が合致していますので、クランク室の圧力がオイルの飛沫とともに流入してカム周辺を潤滑します。

圧力はブリーザーガスとしてギアカバーのなかを通過しブリーザー出口へ向かいます。

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後ろピストンは下死点に到達しブリーザーバルブ開口部 大クランクケース開口部Aを過ぎ去りクランク室遮断されます。

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ブリーザーは遮断されピストンが下死点を通過して上昇すると、クランク室は負圧になりますね。

クランクケース開口部Bブリーザーバルブ開口部 小が合致するとブリーザー室に溜まったオイルはブリーザーバルブのなかに吸い込まれ回収されます。

クランクケース開口部Cブリーザーバルブ開口部 大も合致しているのでプライマリケースのなかのオイルも吸い込み回収します。

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ピストンが上死点に近づくとどの開口部も塞がってしまい、機能は一時休止になります。

ワタシはこのような機能のブリーザーシステムを他のエンジンにおいては見たことがありません。ハーレー独自のメカニズムと考えられます。

不思議なのは電気スターターが装備されるまえは、プライマリーカバーはタダのカバーでしかなくティンカバーとも呼ばれプライマリーチェーンを潤滑したオイルは垂れ流しでした。ちなみにティンはTinでチンじゃありません。映画のTinCupと同じでブリキなんでしょうね。ピストンの上昇によるクランク室の負圧を利用してプライマリーケースのオイルを回収するアイディアは、たまたまあったブリーザーバルブを利用しただけなのか、それとも20年前から予想していたことなのか分かりませんね。

プライマリケースからオイルを回収するのはショベルまでで、これはセルモーターのリングギアなどの破片を吸い込んでしまいトラブルの原因になってしまいました。理由はそれだけではないにしろエボになってからはプライマリーケースはご存知のように独立したオイルバス式になっています。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ピストンさん ()
2009-06-06 20:44:30
ピストンさん
お久しぶりです、以前キャブレーターのインレットでお世話になった者です。
ブリーザーバルブのタイミングがずれているのでは?と疑問に思い調べていました。
ご教授、よろしくお願いします。
ショベル80年式のカムカバーなのですが、プッシュロッド・タペット・タペットブロックの三点を外さないとカムカバーを外せないのでしょうか?
よろしくお願いします。
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酢さん、ご無沙汰です。 (ピストン)
2009-06-07 22:20:32
酢さん、ご無沙汰です。
>プッシュロッド・タペット・タペットブロックの三点を・・・・
プッシュロッドだけでも外れますが、後で組むときにややこしくなりますから、リフターブロックも外したほうがイイのでは・・・。
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ピストンさん ()
2009-06-07 22:50:08
ピストンさん

ありがとうございます。
リフターブロックはまだ手をつけたことがないため不安ですね。
ガズケット交換とフリーザーギア確認が目的なので、カムギアをいじらなければOKでしょうか?
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酢さん、 (ピストン)
2009-06-08 15:14:45
酢さん、
ついでにベアリングの点検をしておくと、ちょっぴり安心できますが。
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ピストンさん ()
2009-06-08 23:40:36
ピストンさん
ご教授ありがとうございます!
リフターブロックも外してみます。

外すの億劫だったのはリフターブロックを止めているネジが赤錆び&欠けがあったのです。
タペット調整すらやったことがありませんが、いろいろマニュアル見ながら頑張ってみます。
ありがとうございました!

ピストンさんのHP応援しています。

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酢さん、 (ピストン)
2009-06-09 18:52:56
酢さん、
がんばってスキルアップしてください。
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