樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

コシアカツバメ

2022年07月07日 | 野鳥
前回、近くの陵墓にあるサギのコロニー(集団繁殖地)をご紹介しましたが、その隣にある京阪宇治駅にはコシアカツバメのコロニーがあります。下は、宇治川サイドから見た駅舎。大きな丸い開口部から鳥が自由に出入りしています。



設計したのは、南海電鉄の空港特急ラピートをデザインしたことで知られる若林広幸さん。この駅はグッドデザイン施設に選ばれていますし、「近畿の駅百選」にも認定されています。
以前から約30個のコシアカツバメの巣があったので、個人的に調査しようと思い、昨年の繁殖が終わった後に下見をしたのですが、巣がほとんど取り払われていました。調査はあきらめましたが、今年の営巣状況を確認するために出向いたところ、ツバメたちは再び巣づくりをしていました。
普通のツバメはお椀型の巣をつくりますが、コシアカツバメは天井に泥を塗り固めて、花瓶を半分に割った形の巣をつくります。



宇治川に近いので、巣材になる泥はいくらでも入手できますし、ヒナの餌となる水生昆虫も無数に飛んでいますから、ツバメにとっては理想的な繁殖環境です。巣を取り払っても新たに営巣するので、多分イタチごっこになるでしょう。



駅舎内部は、当時流行したコンクリートの打ちっ放しですが、飛び回るツバメの糞でご覧のように汚れています。駅長は、大切な駅を糞で汚されたり、乗降客に糞を落とされたりしては困るので巣を撤去したのでしょう。愛鳥家としては巣を壊さないでほしいと思いますが、駅長の気持ちも理解できます。



日本野鳥の会は3年前からツバメの繁殖を見守ってくださるお店や団体に感謝状を贈呈しています。京都支部でも先日、カラスが巣を壊さないようにネットを張ったり、糞よけの注意喚起をしてくださっているコンビニに感謝状をお渡ししました。
個人的には京阪宇治駅もその候補に考えていたのですが、この状況では難しいですね。
コメント (2)
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