樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木陰はなぜ涼しいか?

2014年08月28日 | 街路樹・庭木
東芝のエアコンのブランド名は「木かげ」。「木陰は涼しい」というイメージからのネーミングでしょう。
では、実際に木陰はどれくらい涼しいのか? ツリーウオッチャーとしては気になるので調べてみました。
ある人が公園で夏の正午に、ケヤキの木陰の外と内の路面温度を計ったところ、以下のような数値を示したそうです。ケヤキは樹高9.5m、枝張り11mの孤立木。
・快晴(気温32.0度)…木陰外61.3℃、木陰内31.5℃~32.5℃
・晴(気温28.0度)…木陰外54.5℃、木陰内30℃~35.0℃
・曇(気温29.0度)…木陰外36.9℃、木陰内32℃~36.0℃
快晴の場合、倍ほどの温度差があるわけです。環境省も同様の調査を行っていて、日なたの路面が約53℃、木陰の路面が約36℃と似たようなデータを出しています(樹種は不明)。


ケヤキの木陰

次の疑問は、日陰であればどこでも涼しいのか? つまり木陰でなくても涼しいのか? これについても環境省が調べています。
テントで陽射しを遮った日陰と木陰で比較すると、テントの日陰が40.5℃、木陰が31.4℃。木陰の方が9℃涼しいわけです。
日射によってテント自体が熱くなるのに対して、樹木は葉から水分を蒸散するので熱くならないのです。このテストではテントの裏面が約60℃まで上昇したのに対して、木の葉は気温とほぼ同じ33℃だったそうです。
面白いことに、樹種によって日射の遮蔽機能に差があるという研究も行われています。テストされた10種類の樹を日射遮蔽率の高い順に並べると、シラカシ、ナンキンハゼ、タブノキ、クスノキ、アメリカフウ、プラタナス、ポプラ、イチョウ、サクラ、ケヤキ。
常緑樹の方が遮蔽率が高いということは、葉の大きさよりも厚さが影響するようですが、樹高が高くなると樹種による差はなくなるとのこと。
いずれにしても、東芝のネーミングには科学的根拠があったわけで、ツリーウオッチャーとしては嬉しいのですが、コピーライターとしては、三菱の「霧ヶ峰」や日立の「白くまくん」の方が涼しそうに思えます。
コメント (2)
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