樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

国章の木

2013年09月26日 | 木と文化
日本では法令で国章が定められておらず、慣例として皇室の家紋である菊の花が使用されているほか、総理大臣や政府は五七の桐を事実上の国章にしています。



以前、国旗に樹木を使用している国としてカナダとレバノンをご紹介しましたが、日本と同じように国章に樹木を使用している国があるかどうか調べてみました。
ヨーロッパ諸国やその植民地であった国は、オリーブやオーク(ナラ)、ゲッケイジュを使う例が多いです。その代表としてイタリアの国章をピックアップしました。左がオリーブ、右がオークです。



南の国や中近東ではヤシが目立ちます。下はフィジー諸島共和国。盾の中の左上はサトウキビ、右上はココヤシ、左下はオリーブをくわえたハト、右下はバナナ。フィジーにオリーブは自生しないと思いますが、ここにもヨーロッパの影響が残っています。



ブラジルの国章には、期待どおりコーヒーが描かれていました。左が赤い実をつけたコーヒーの木、右はタバコの葉。
ちなみに、ブラジルという国名も樹木に由来します。ポルトガルがブラジルに侵入したとき、赤い染料が採取できる木を発見して「パウ・ブラジル(赤い木)」と名づけたのが始まりだとか。



私が最も気に入ったのはベリーズの国章。ベリーズはメキシコの南に位置する小国です。
周囲を取り囲むのは50枚のゲッケイジュの葉。イギリスからの独立運動が1950年に始まったことに由来するそうです。
盾の上に描かれている樹はマホガニー。高級家具に使用される木材です。盾の中の左右には斧や鋸など木材を伐採したり加工する道具が描かれています。左右の人間もその道具を持っています。船は多分、木材輸出を意味しているのだと思います。



さらに、下のリボンに書いてある“SUB UMBRA FLOREO”は、ラテン語で「木陰で栄える」という意味の国の標語。すべてのモチーフが樹木がらみで、一つ一つに意味があるいい国章ですね。
コメント (2)
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