樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

婦唱夫随

2013年09月09日 | 野鳥
近くの干拓田で今年もタマシギが繁殖しています。この鳥はかなり変わっていて、一妻多夫である上に、メスは子育てせずオスだけが子どもの世話をします。
一妻多夫でオス親のみが子育てする鳥はタマシギのほかにアメリカイソシギとアメリカレンカクなどがいるそうですが、タマシギがこの2種と違うのは雌雄別色であること。しかも、他の雌雄別色の鳥とは逆に、メスが派手、オスが地味。こんな鳥は世界中を探しても他にいないでしょう。
南西諸島に生息するミフウズラも一妻多夫・オス親のみの子育て・雌雄別色ですが、オスとメスの色の差はそれほど顕著ではありません。
タマシギの雌雄逆転は行動にも表れていて、メスが主導的に動き、オスはその後に従うという「婦唱夫随」型。先日も干拓田でタマシギのペアを見ていたら、メスの後をオスがトボトボと歩いていました。
下の動画の最後のシーンでは、メスが近くにいたオオジシギを威嚇しています。



雌雄の役割がなぜ逆転したのか、気になって調べてみましたが、よく分かりません。いくつか仮設があるようですが、まだ決着していないようです。
オス親のみが子育てする一夫一妻の鳥もいて、ニュージーランドの国鳥キウィもこのタイプ。タマシギ、ミフウズラ、アメリカイソシギ、アメリカレンカク、キウィに共通するのは、歩行性と地上営巣。飛ぶよりも歩く方が得意で、巣も地上に作ります。
もう一つの共通点は早成性。つまり、ヒナの生育が早いこと。これらの要因が複雑にからみあって、タマシギみたいな変わった鳥が生まれたのでしょう。
わが家は子どもがいないので子育てに関しては何とも言えませんが、行動パターンは「婦唱夫随」が多いような気がします。タマシギのオスを見ていると、「同病相哀れむ」に似た感情が湧いてくるのは多分そのせいです(笑)。
コメント (3)
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