樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

雲太、和二、京三

2008年06月18日 | 木造建築
タイトルは「うんた、わに、きょうさん」と読みます。「雲」は出雲、「太」は太郎という名前が示すように長男、「和」は大和、「京」は京都。出雲大社がNO.1、奈良の大仏殿が2番目、京都御所の大極殿が3番目という意味で、日本の巨大建築のベスト3を表しています。
前回、世界最大の伝統木造建築として大仏殿をご紹介しましたが、それより大きな建築物があったのです。現在は焼失して実物は残っていませんが、昔の書物に「出雲大社は16丈(48.5m)、大仏殿は15丈(46.4m)」と記録されています。

             
        (幻の出雲大社を記述した本居宣長の「玉勝間」)

長い間その出雲大社は記録に残るだけの「幻の木造建築」でしたが、2000年にそれを裏付ける遺構が発掘されました。出雲大社の境内の地下から、直径1.35mの柱を鉄の輪で3本束ねた直径約3mの柱の跡が2ヵ所発見されたのです。
出雲大社の柱跡はこちら。当時の復元模型はこちら
6本の柱のうち4本がスギ。あとの2本は不明ですが、おそらくヒノキかコウヤマキでしょう。建築されたのは平安末期と推定されています。
江戸時代に再々建された現在の大仏殿には集成材の柱が使われていますが、平安末期すでに丸太のまま束ねて柱にするという技術があったわけです。

             
   (集成材を鉄の輪で束ねた大仏殿の柱。出雲大社は丸太を束ねたようです)

さらに、本居宣長は「上古には32丈、中古には16丈あったが、現在は8丈」とも記していて、それが事実なら創建時の高さは97mにもなります。現代の建築学者は「構造的に不可能」と言っているようですが、100m近い木造建築物を想像するのは楽しいですね~。
コメント (6)
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