樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

十字架の木

2007年05月01日 | 木と宗教
あちこちでハナミズキの花が咲いています。この樹は日本が贈ったサクラの返礼としてアメリカから贈られたもので、日本には自生しません。
アメリカハナミズキとかアメリカヤマボウシとも呼ばれます。悲惨な銃乱射事件が起きたバージニア州の花であり、アトランタ市の花でもあります。最近は日本でも一般家庭の庭や街路樹にたくさん植えられています。

      
   (本当の花は真ん中の緑の部分、白い部分は総苞片=そうほうへん)

この木に関して、「キリストが処刑された十字架はハナミズキの木で作られた。花の四方が窪んで赤くなっているのは釘と血の痕」という話があります。でも、これは全くの作り話で、ハナミズキは中近東には自生しません。
では、実際には十字架はどんな木で作られたのか? この疑問は昔からあったようで、いろんな説が語られています。その一つは、縦の木はレバノンスギ、横の木はイトスギ、立て札にはオリーブが使われたという説。

      
       (開花前は総苞片は上でつながって花を守っています)

これは多分、聖書に出てくる神話に由来します。アダムが死ぬ間際に息子をエデンの園に送り、天使に「生命の木」の樹液を分けてくれるように頼んだ。天使は樹液の代わりに小さな木の枝を与え、その枝が成長してレバノンスギ、イトスギ、オリーブの3種の樹が生まれた。その後、キリストが処刑される際に3種類の木で十字架と立て札を作ったというのです。
この話も聖書に合わせて後から創作した話のようですが、3種類とも中近東に分布するので、ありえない話ではないですね。以前、仏教の三聖木をご紹介しましたが、キリスト教にも三つの聖木があるようです。
コメント (2)
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