湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

父の自己認識の後退を見つめて/介護の隙間作りと新年度構想

2010-02-23 14:34:11 | 引きこもり
2010/02/22 記
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母の足の包帯が外れた。細かい仕事が急に減り、まだ買い物や危ない仕事は分担出来ないが、気ぜわしさは楽になった。分担した仕事の拘束力は、まさに生殺し状態だった。父の介護はこれからも長い。母の老いを考えると、現状は長続きするものとは思えない。そんなことを考え皿を洗っていたら、父が落下した。サイドテーブル上の皿と小鉢が割れて、父の周辺に散らばった。

父が床をまさぐる利き手の動きを制して安全確保。食器の破片を父から離し、細かいかけらで父が傷つかないように父の胴体の向きを変えようとして、いつもの父の猛然とした反発に会う。必死にものにつかまろうとする。今回は周囲に椅子の足しかないが、この前は、ペットボトルにつかまった。状況を冷静につかむ力が無くなっている。着替えも異常に緊張して「てきぱき」と行動しようとして、靴下に両足を突っ込もうとしてしまう。それを注意しようと介護者が制すると、ひっかかれたり、殴られたりする。私は距離感を覚えたので、被害は少ないが、陶器破片で怪我をしそうな今回のような急な事態も、説明しながら冷静さを誘導してはいるものの、強制度の高いときは、手袋を緊急出動時つけていないと、爪をたてられ、掌は血だらけにされてしまう。母はそれに平静を失い、私は今のところ手袋のおかげで、かわしきっている。家の中では、ポケットに介護手袋をいつも忍ばせている状態というのは、やはり異常だ。

この前、閉店間際の若松町クラウンで買い物をしたとき、財布を出そうとして手袋が落ちた。ちょっとどきりとした。外では介護手袋をポケットに入れていたら、「怪しいおじさん」である。

日曜日は2回、落下と転倒。転倒は私の目の前、ポータブルトイレの手すりに力いっぱい体重をかけて身を引き寄せようとつかまって、手が滑った。前にのめるように床に転がった。勢いがあるから痛いだろうに傷ひとつなかった。私が遮光カーテンを直している間の出来事だった。もし手すりを握っていたら、ポータブルトイレは宙を跳び、父の上に倒れ掛かり、糞尿だらけになっていたところだった。立って排泄するのは限界なのだ。

しかし、何回転倒しても、頑として紙パンツ内排泄を受け入れない。睡眠中失禁を繰り返し、ベッドや紙パンツをぐっしょり濡らしていても、それは紙パンツから男性器だけ出している結果なのだ。ポータブルトイレ前でズボンを下げることが困難なために、先に出しているのだが、これでは紙パンツの意味がないのだ。根気合戦と思うと続かないよというご助言をいただくが、危険度を考えると、場面によりけりだと思うのだ。

水炊き鍋をポン酢で食べさせるつもりで、夕食時、鍋の脇にポン酢の皿を添えて父の分をつくり、ベッド脇に出した。鍋のときはしばらく父の周辺の片付けなどをして、父が熱い鍋で火傷をしないように見張っている。父は食事の途中、排尿に立つことがしょっちゅうあり、移動の際に鍋の中に手を突っ込んでしまったりするからだった。

大丈夫そうなので、父の部屋を出た。下膳時、驚いた。鍋をつついて、大半を残していたからだ。大食漢の父が鍋を残した。流しの前に膳を置いて観察した。ポン酢が全く汚れていない。使っていないのだった。父は鍋の中の食材を直接口にしていた。皿を見逃していたのだった。「理解できない」ではなく「見逃し」としたのは、薬を入れたキャップを飲み残すのは、父の位置から見て椀の影にあるときが多いことに気がついていたからだった。

父はポータブルトイレの排尿の際、サラダ油容器を改造した「樋」を使って、手前に尿を垂れ流すことを防いでいる。この「樋」を男性器に当て、容器の口をポータブルトイレのバケツの上に出して尿をバケツ内に誘導している。このとき、父は容器の取っ手を握らない。バケツ内に落とさないように長さ調整をしてつけた紐をゆびにかけている。時には排泄受け皿が90度傾き、尿を出せばこぼれてしまう位置になっていたり、尿を出す口を上に向けていたり、方向違いの座面の上に出してしまう。尿が出るまで数分かかるから気力がいるが、見ていると数秒と集中力が持たない。

膳の配置の見逃しや、樋の持続力、別要素が入るが不適格な「手のまさぐり」などは、一貫して集中力の欠如・判断力の低下などが起こっている。これではTV番組の筋は追えない。ホームのデイサービスのとき、父が描いてくるカレンダーは、升目を色鉛筆で塗った部分が枠からはみ出し、巧緻運動の困難とともに、細部を塗りつぶす意志が働いていない。持続しなかったのだろう、中途から類似色の鉛筆に色がかわっていたりする。鉛筆を持ち替えたとき、元の鉛筆の置いた場所を忘れて、似た色を手にするのだろう。勿論、その鉛筆を落としたり、失ったりした結果の代替鉛筆という可能性は残っている。

家庭では署名をさせたことがある。枠内に名前が書けなかっただけではなく、フルネームで書き始めて最後まで書けたことが無い。座位が安定していないので、途中で揺れるとそこから先を書くことを放棄してしまう。つまり、カレンダーは職員さんの誘導が入った力作なのだ。

この状態で足を引きずって歩き出すのだ。階段上に立つことの危険さを思うと背筋が寒くなる。

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東京のボランティアセンターフォーラムの際、共同作業所で作ったジャムを買い込んできていた。「ゆずジャム」「だいだいジャム」の小瓶をひとつずつ買った。面白かったので紹介しておく。「だいだいジャム」は苦味が強すぎて除外。

 ●「ゆずジャム」
 東京北区西ヶ原の精神障がい共同作業所「つばさ工房」製
http://www.tubasa-koubou.com/

HP上の説明では、一定のところから果実を得ているのではなく、カンパ提供品を使っているようだが、ジャムが安定している。慣れないと、冷めたときに砂糖が浮き上がってしまうが、最後まで水分が分離もせず食べ終えることが出来た。香りが良く、剥きが深いのだろう、かなり苦味を感じるが、これが抑制された糖度のジャムの個性になっていて美味しい。(だいだいジャムは、深剥きしすぎた。)相当ペクチンを入れているが、他の共同作業所の製品より完成度が高い。甘くないこってり感と、ほどよい苦味と、いい香り。お勧めである。日持ちはチェックしていないが、小瓶小分けで買うのがいいかなと。



夜間傾聴:******君(仮名・本校に登場。教員が驚いたとか)
     中央林間君(仮名・こちらから)




2010/02/23 記
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月曜日、父をデイサービスに送り出した後、購入したTVをBフレッツ回線で見ることにしたため、配線工事を行った。今はまだ双方向性利用が進んでいないので、アンテナで見ていてもいいのだが、2台目以降は利用料も下がるというので切り替えた。父の部屋のベランダ側の防水加工と、父の転倒の際痛めた砂壁の一部の修繕工事をNTT東日本外注の配線工事屋さんと併行して工務店を入れた。当初工事は約束が10時からだったが、配線工事が順番があるので11時からとなって、この日、ビッグイシュー販売員Eさんの取材が東京事務所から13時から入ることになっていたので、時間がぎりぎりになってしまった。

砂壁は乾くまで時間がかかるので、今日もう一度、工務店が仕上がりチェックにくるが、12時台に作業が終わった。ところが配線工事はむしろ後が面倒だった。電話機を取り替えたので、FAXから転送サービスの設定、無線LAN設定と、CS解除、エコポイント請求など様々な後始末が残り、結局取材に立ち会うことが出来なかった。

取材は順調に行ったようである。湘南あすなろ会の「便り」とHPをお任せしているОさんが入って、逆取材も出来たようだ。ただ今回はライターさんだけで、撮影は後日というなにやら不可解な取材だったが、E君は3月下旬号か4月上旬号に載る。詳細は水曜日の定例会のときまでお預けということで。

とにかく散らかった箱やシート類の片付けと、すぐにやっておかなくてはならない設定や手続きをしているうちに、父がデイサービスから帰ってきてしまうのだった。また一日が部屋を走り回って終わって行った。母が夕方買い物に出かけたのが唯一の救い。父はホームで歩き回って紙パンツにためこんで帰宅したので、入浴の意味がなくなっていた。排泄介助と清拭、夕食作りと洗濯で一日が終わってしまう。巡回も日送りとなった。虚しさが鬱積してくる。

父の尿が出ない。ポータブルトイレに向かって排尿する際、「樋」を自分で使わせるために、身体の安定サポートをし、排泄まで時間がかかるので、声をかけるようにした。背後から父を抱きかかえるようにするが、衣服が濡れているので、私の服も濡れてしまう。だからユニフォームを決めておいて、介護の際着替えて、毎日洗濯している。ただ父は下半身の衣類を下げているので、遠慮なく屁をするので、屁は私を直撃する。下痢のときは私と父の下半身が汚れてしまう。介護は忍耐であるといいつつ、おむつ内排泄を拒否するそのひとつのことで、介護者の時間拘束と忍耐を強いる矛盾に耐えている人がどれほどいるのかと空想をめぐらす。ひとを侍らせ、屁をひることのために生き抜くのかと人生の無残さを考える。こういう倫理の境界線に介護活動はある。

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「わーく」の新年度活動が、なかなか立たない。ひとつの柱が「当事者懇談」であり、もうひとつの柱が「フォトフレーム&携帯向け画像放送」である。年末にセカンドブックアーチの山本君を取材して、いまだに紙メディア紙が出せないでいるのは、父の介護状況が安定しないことに尽きる。ビッグイシュー販売を軸とした湘南あすなろ会の路上生活者支援活動に、本来の活動を復活させていく後者の流れが停滞している。人をつなぐには最終的には、会って話さねばつながらない。その場と時間がつながっていかない悩みである。

新年度のテーマは、地域就労支援活動のネットワークをつなぐ、横断的な大きな枠組みを提示すること。地域起業を重視したインクルーシブな企画の芽を始動させることである。このふたつを見つめて、どう諸企画を作り上げていくかを戦略的に考えていく。

地域就労支援PJは、中間支援団体としてのつなぎ的な活動を立てていくことだろう。「『ソーシャル・ファーム』と地域活動」「地域交流センターのセイフティネットの芽作り」に関連した講演会と見学会を立てる。

私が黙れば手帳を持つものと持たぬものの地域就労支援活動が途切れてしまうような慢性的な状況を、なんとしても拓かねばと思う。介護の隙間をどう作るか。既存の人脈の固定的な発想では、原資あるものの活動しか出てこない。引きこもり分野の活動がそうであるように、原資あるものの活動と既存制度の活用に活動が局地化していく活動を越えるために。少ない原資から蔓延していくウィルスのような当事者による就労支援活動が生み出されなくてはと思う。その活動に活力を与えていくのが領域横断の地域活動、協業の情熱を生み出していく開放型起業就労活動を地域交流の中に作っていくこと。

真似ができ、誰もが始められる活動をどう作っていくかが大事なことなのだ。スタンダードは全国で模倣できる。変種を作りうる。その基礎活動が新年度の課題なのだ。「わーく」はネットの神経網と血流を作る活動だから、ここからなのだが。

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《気になる記事から》

●「非正社員数、初の減少 「雇用の調整弁」浮き彫りに」
●「3歳女児死亡、傷害致死容疑で義父逮捕 日常的に虐待か」
●「年金口座差し押さえられ、77歳男性孤独死/千葉」
---- 事件の背後に貧困の影。脱税論議で時をつぶしているときかと。

(校正1回目済み)

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