日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

新しい伝統

2020年09月11日 | エッセイサロン
2020年9月11日 中国新聞セレクト「ひといき」掲載 

 定年になって何年かたっていた。朝、経験のない目の異常を感じた。何の病気かー。にわかに心が騒いだ。遠くだが、当番医である眼科へ急いだ。
 「涙腺の働きが鈍っています。治療を続けてください」という診断だった。その後、医師に自宅近くの眼科を紹介してもらった。
 そこは私のかかりつけ医になった。医院の様子を書いて投稿すると、「城下町の医院」の表題で「ひといき」に掲載された。医院長には「隣の敷地に医院を新築するので、いい記念になります」と喜んでもらえた。
 新築・開院から1年。建屋は落ち着いた和風で、歴史ある町並みへの気配りが感じられる。城下町に面していた和風の玄関は、広い道路に接する駐車場の奥となった。今はコロナ対策として、大きな自動ドアも窓も開放、風通しがいい。
 受付の木枠の窓や、床板の色つやに先代からの歴史を漂わせた待合室は、一体化されて開放的な空間になっている。
 診察は医師2人が担う。診察室内は現代風に一変、手書きのカルテは電子化された。新しい検査機器が入り、手術も可能という。高齢者はこうした変化がうれしい。安心感が増す。
 旧待合室で掲示された盆・正月の旅の写真は、エンドレスのスライド上映になった。受診待ちの間に、ちょっとした海外旅行の気分が味わえるようだ。
 スタッフの真新しい制服に目がいく。新しい伝統づくりが始まっている。
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