田圃の畦に咲く真赤な花を車窓から眺めながら、就職試験の不採用結果を告げに受験生の高校を訪ねる重い気持ちを「彼岸花のころ」のタイトルで初投稿した。それが掲載されたとき、胸のつかえやわだかまりが少し軽くなった気がした。その赤い花は彼岸花、今も続く投稿の原点がここにあるのかもしれない。
彼岸花は彼岸のころに一本茎の頂端に外側に返るような花を数多く開く。パッと咲くがその命は長くない。この花は、花が咲くとき葉が無い、昔は土葬の標だったなど忌み嫌う人も多いというが私は特別に避けたことは無い。縁あって3年前庭に数株が宿ることになって3度目の彼岸がやってきた。これまですーっと伸びるので今年その伸びを測ってみた。今年2番目にのぞいた茎を基準に毎朝7時半ころ測定した。
1日目は8㌢、2日目は14㌢、3日目は18㌢、4日目は8㌢、5日目は4㌢伸び全長は60㌢ほど、6日目には一部開花した。その伸び方、2日から4日まで昼間の伸びは伸びしろの2割ほど、残りは夜の時間に伸びていることを掴んだ。これは「いつの間にか咲いている」という人の見た目の感想を証明しているのではないか、そんな発見をした気分でいる。
庭植えに改良されたのか子どものころの記憶とは違い赤、白、黄など玄関まで豪華に咲いている家が近くにある。赤系が1番に咲くと聞いている。白は植えているが、黄は初めての咲いてくれるはずと待っている。花が終わると待っていたように葉が伸びる。花と葉が出会えない不思議な植物である。