必要な時に借りていたが、自分用のカメラを持ったのは今から58年前の5月頃だった。初月給の中から頭金を払い手にしたのはコニカの1眼レフ、レンズは135㍉望遠、ずっしりと重かった。シャッターを押すと「バシャ」という豪快な音は今も耳奥に残っている。当時は白黒フィルム、1枚撮るにも慎重だった。現像、べた焼き、トリミングに焼き付け、という一連の時間を楽しんだ。
今、手元にあるカメラは何台目だろう、と言っても年数は経ち、購入時に比べればひ孫、いやそれよりも古い世代になっているかもしれない。格別の芸術品を狙うわけではないので満足している。これまで使ったものを保存していないのが残念だが、幾つかは下取りとなって我が家を去っていった。
「手のひらサイズのカメラとはそれか」、出会った知人に指摘された。この表現は、たまにマイブログで言い訳に書いているもので、いつでもどこでも供をさせる赤いボディのデジカメを指す。小型デジカメとしては3台目、小さいながら月面もくっきり写せる優れ物で気にいっている。この愛機のおかげで毎日1枚アップするブログ写真は何とか続いている。大きいカメラは散歩の手伝いは難しい。
スマホの写真機性能がアップしカメラ各社の経営を圧迫しているやの報道を見る。人垣ができるとその頭上にスマホの帯ができる映像を見ると、カメラメーカーの苦境もわかる。スマホにしろデジカメにしろ、簡単に撮れるためそのスキルは下がっているのでは、そう思いながらデジカメを使っている。自戒として徒然草の一節をもじり「この1枚に定べしと思え」。