
散歩で歩く道沿いの屋敷の囲いはコンクリートブッロクが多い。見た目の堅牢な作りは外への備えとして住む者には一応安心感を持たせる。植え込みの垣根をブロックへ作り変える家も見かける。最近、さざんかの花を楽しみにしていた垣根が増築工事に合わせてブロック塀に変わった。人様の家のことゆえ口出しはならないが、ひとつ何かが消えた気持ちがする。
かくいう我が家もブロックで囲っている。築くときに四つ角という地形も考え、車からの見通しも考え出来るだけ低く構えたいが、外からの目線は遮りたいと、今の形になった。そんなブロック塀について悩みはある。それは道路側が汚れること。年1回はたわしで手洗いしている。汚れが黒っぽい筋となって流れ落ちる。それを感じるから手洗いもできるが、いつまで続くか。
家の造りは純和風で屋根付きの門構えの家がある。そこだけ見ると江戸時代の大きな屋敷跡かと思う。壁は高く内を知ることはできないが、白壁が秋の日に映える。この家のそばを通る瞬間だけ武人が出てくるのではと時代が遡る。
垣を高くすれば人との間に隔てをつくる、低くすれば隔てがなくなるという。また「よい仲には垣」という。これは、どんなに親しい間柄でも、けじめだけはきちんとすることをいう。いづれも人の心を垣に置き換えた教えであり諭しだろう。垣からも人の途が説かれていることを知った。