見方によっては自然の造形美、いやいや、勝手気ままに伸びたただの枝。気づかなければなんでもない大きな木。ところどころに剪定されたのだろか切り落とされた跡が見える。根元は大人2人分ほどどある。公園のめだたないところ立つ大きな木。
そばの説明板に「クロガネモチ 常緑高木」あり、続いてIlex rotunda Thunb、鉄冬青とある。調べてみると英文は学名で次は中国語の表記という。漢字では「黒鉄黐」と書いてクロガネモチと読む、とある。
「黐」という字は初めて。「モチノキなどの樹皮をつき砕き、繊維などを洗い落して製した粘り強いもの(広辞苑)」とあり、鳥やハエなどを捕えるのに用いると続いている。子どものころ鳥もち、と呼んでいたのはこうして作られたのか、と初めて知った。昔の人は粘りのあることをどうして知り、どんな工夫をして狩猟に用いたのだろうか。
我が家にも小さなクロガネモチが1本ある。冬になると赤い実が小鳥の餌になる。実のなる木を学習しているのか、必ずやってくる。餌が不足という冬は来るのが早いように思う。小さな木なのであっという間に食いつくす。少しは満足してくれたろうか、実の見えなくなった枝を眺めながら自然界の摂理を思う。
(写真:千手観音様のような公園の大木)