みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

静寂の中での建築

2020年05月06日 | 列王記第一

列王記第一 6章1−13節

神殿が建てられたとき、石切り場で完全に仕上げられた石で建てられたので、工事中、槌や斧や、いかなる鉄の道具の音も、いっさい神殿の中では聞こえなかった。」列王記第一 6章7節

 野ばらがそこかしこで咲き始めています。花びらが幾層にも重なっていない、シンプルなものもありますが、それはそれで清楚で美しいものですね。

 ソロモンによる神殿建築工事が始まりました。神殿の大きさについては、長さ(奥行き)が26.4メートル、幅が8.8メートル、そして高さは13.2メートルですから、それほど大きな建物ではありません。歴史の中では権力者がその威光を誇示するために建てた壮大な建築物とは比べにならないほどですが、神はそこにおられると約束されました。13節のことばが心に留まります。

 この部分には、神殿の建築に取りかかったのかがいつなのかについても、書かれています。「ソロモンがイスラエルの王となってから四年目」というような書き方は他でもありえますが、「イスラエル人がエジプトの地を出てから四百八十年目」という書き方からは、約束の地を目指しての出エジプトの目的が果たされるということです。

 モーセの後継者、ヨシュアによって民は神の約束の地に入りました。しかし、しばらくは不安定な時代が続き、十戒の石の板を納めた神の箱がペリシテに奪われるということさえ起こりました。ダビデが王になってようやく平和への道筋がつけられ、ソロモン治世下で人々は平和を喜び楽しむようになりました。神殿建築は、「平和の王」ソロモンにふさわしい事業だといえます。

 それにしても、7節のことばには驚かされます。神殿建築が静粛さの中で行われるというのです。飛躍があるかもしれませんが、静粛さの中で神の御声を聞くことの大切さを思うことばでもあります。


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