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連城三紀彦『私という名の変奏曲』

2021年04月11日 23時52分33秒 | 文学
連城三紀彦の『私という名の変奏曲』(文春文庫)を読んだ。
モデルの女が七人に同じやり方で殺されるという不思議な話で興味深く読み始めたのだが、容疑者の告白が繰り返されるところでだいぶ飽きてしまっていた。同じことを繰り返されることが極端に嫌いだ。
真相が分かってしまった後の、長い告白も嫌い。
もうそこのトリックさえわかってしまったら、あとのつじつま合わせなんかどうでもいいじゃないかと思ってしまう。どうせ、こんな犯罪不可能なんだから。こんなに面倒なことを考えて実行する人がいるはずない。
ちょっと苦手なタイプの推理小説だった。
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井上靖「墓地とえび芋」

2021年04月09日 22時04分12秒 | 文学
井上靖の「墓地とえび芋」(講談社文芸文庫『わが母の記』所収)を読んだ。
新潮文庫の『孔子』の曾根博義の解説に、『本覚坊遺文』や『孔子』につながるものとして短篇では「墓地とえび芋」の名前を挙げていてどちらの小説も好きなので興味を持った。ちなみに長篇では『星と祭』ということだった。
「墓地とえび芋」はとても好きなタイプの文章で、こんな文章であればいくらでも読んでいたいという気分にさせられるようなものだった。話としては、井上靖を思わせる語り手の作家が田黄という石でできたハンコを京都の骨董屋に買いに行くが、店の主人は死んでおり田黄のハンコは手に入らない。店の主人の葬式から、自分の生まれてすぐに亡くなった娘のことを思い出し、妻からは京都の市場でえび芋や京野菜を買ってこいと頼まれるがその店は見つからず、田黄のハンコのために用意したお金でお墓を買うことを思いつく、という、あらすじで書いてしまうと収拾がつかない話なのだがとってもしっくりと来る文章で書かれていて読んでいると愉しい。
こんなのを井上靖はほかに書いていないのだろうか。たしかに『わが母の記』はそういう感じで以前読んだときに好きだったのを憶えている。しかし基本的に井上靖は歴史小説を書いているイメージしかない。
『星と祭』を読んでみるべきだろうか。そんな気がしてくる。
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連城三紀彦『運命の八分休符』

2021年04月09日 00時14分18秒 | 文学
頭木弘樹の『絶望書店』を読んで以来気になっている連城三紀彦の、『運命の八分休符』(創元推理文庫)を読んだ。
携帯電話のCMで米倉涼子が「そんな常識ひっくり返す」と言っているが、この連作短篇集を読む間、その言葉を何度か思い出した。
それはそういうものだろうと思っていたらひっくり返される。
一例を挙げると、観客は見るものだと思っていたら、見られるものだった、というようにひっくり返される。
探偵役の主人公は冴えない青年で(「冴えない青年」という言葉がすでに古くさい気がするがそれも含めて「冴えない青年」)、そこがこの短篇集のいまいちだと感じられるところかもしれない。やはり探偵役は格好良くあって欲しいという願望があるような気がする。
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ヘンリー・ジェイムズ『デイジー・ミラー』

2021年04月07日 15時10分22秒 | 文学
ヘンリー・ジェイムズ『デイジー・ミラー』(新潮文庫)を読んだ。
新訳が出たのでこの読んだことのない物語を読んでみようと思ったのだが、読んでみるとかすかに読んだことが思い出されるように思った。たぶん『ねじの回転』と一緒になった文庫を読んだのだろう。
しかし思い出したというほどはっきりとは思い出さなかった。
ちょっと何が言いたいのかしっくりこない話だった。スイスの素敵なホテルでのお話かと思って、最初はわくわくしたがそのような話ではなかった。
お転婆娘をまわりの人間が常識がないと言って責める話だった。そのように私には読めた。そうしてお転婆が過ぎて最後には死んでしまう。恋した男にも読者にもそれほど印象には残らない。
文章が少しややこしくて素直に楽しく読めない。
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伊丹十三『女たちよ!』

2021年04月07日 10時19分57秒 | 文学
伊丹十三『女たちよ!』(新潮文庫)を読んだ。
もう五十年以上前に書かれた本なので、日本の生活もずいぶん変わってしまっている。
パンはおいしくなったし、アボカドは普通に食べるようになった。味の素は誰も食べなくなった。
僕はおいしくないケーキのことを「パンみたい」ということにしていたのだが、これからは「アメリカのパンみたい」と言うことにしよう。フランスのパンに悪いから。
いちばん興味を持ったのは、オスカー・ワイルドの「アーネストであることの重要性」という戯曲で、不思議なタイトルだなと興味を持った。胡瓜のサンドウィッチの会話から始まるというのもなんだか惹かれる。「まじめが肝心」というのが一般的な邦題らしい。
こういう、知らないことで興味を惹かれることが他にもあるかもしれないから伊丹十三のその他のエッセイ集も読んでみようか。ちょっと、もういいかな、とは思ったのだけれど。

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バーネット『小公子』

2021年04月05日 00時02分47秒 | 文学
バーネット『小公子』(角川文庫)を読んだ。
バーネットの小説は『秘密の花園』も『小公女』も好きなので、ずっと文庫で読めるのを待っていたのだが最近になって一度に三種類も翻訳が出た。新潮文庫は新訳ではないので読まず、光文社古典新訳文庫は値段が高いので角川文庫にした。
やはり期待通りたいへんおもしろい本で、とても楽しんで読んだ。
少年が祖父の心を優しくする小説で、とても良い本を読んだ気持ちになる。信用することが信用された人を変化させることや、やさしい気持ちは人に影響を与えることなどを改めて思った。
素晴らしい本。
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クラブヒルサイド+スティルウォーター編『少女は本を読んで大人になる』

2021年04月04日 23時49分52秒 | 文学
クラブヒルサイド+スティルウォーター編『少女は本を読んで大人になる』(現代企画室)という本を図書館で借りて気になるところだけ読んだ。
もともと少女が読むような本が好きなので、何かいい本はないかと思い読んでみる。
『赤毛のアン』と『悲しみよこんにちは』と『嵐が丘』と『女たちよ!』の読書会を読んでみる。読書会と言っても、何人かが集まって本の感想を言い合うような感じではなくて、ひとりの人が語ってそれに少し質問が入るという感じで講演というのに近いと思う。
伊丹十三の『女たちよ!』は読んでみるつもり。
岩波書店の『伊丹十三選集 第一巻』も図書館で借りてきたが、文庫になっているものを並び替えて、少し未収録のものを入れているだけの印象なので文庫になっているものを読んだほうがいいのではないかと思った。
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『シグナル 長期未解決事件捜査班 スペシャル』

2021年04月01日 00時01分03秒 | テレビ
映画化されるのでその宣伝である、『シグナル 長期未解決事件捜査班 スペシャル』をテレビで見た。
連続ドラマのときにわりと熱心に観ていたので、今回のドラマもおもしろかった。
最近ドラマを見ると必ず青木崇高が出ている気がする。なぜだろう。そんなにいいかな。
北村一輝の走り方はわざとなのだろうか。とても遅そう。しかし古い時代を反映しているのだと言われればなんとなく納得してしまう走り方だ。
映画の宣伝のために二時間くらいのテレビドラマを放送するというのは結構あるのだが、どうしても話に無理があったり映画につなげるために話が中途半端になりがちだ。このドラマがそうでないとは言わない。むしろ「そう」だ。
私のようにすぐに映画に行きたくならないような、気の長い人間には、中途半端な話でしかない。
でもまあおもしろかった。未来が変わるというのがこのドラマのすごいところで、他では見ない。
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