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☆江藤淳「荷風散策」感想

2006年07月25日 22時11分51秒 | 文学
荷風散策―紅茶のあとさき江藤淳の「荷風散策―紅茶のあとさき」を読み終わった。
通勤のときに読んでいただけなのでとんでもなく時間がかかった。
永井荷風の日記「断腸亭日乗」を読みながら、その当時荷風が書いていた小説もいっしょに読んでいくという感じの評論でした。
読むのに時間をかけすぎてしまったので、内容をもうほとんど憶えていないのだが、印象に残っているのは以下のようなところ。
「自分ばかりを愛してゐると思つてゐた君江の如きは、事もあらうに淫卑な安芸者と醜悪な老爺と、三人互に嬉戯して慚(はじ)る処を知らない。」(37ページ)
これは小説「つゆのあとさき」からの引用だけれど、「断腸亭日乗」を見ると荷風自身もそのような経験があったのではないかと思わせる、らしい。
あと、どこかの女は「閨中秘技絶妙」とか、「サツク」(つまり避妊具)の値段とか、そんなことがたくさん出てくるらしい。
「断腸亭日乗」にわりと興味を持つ。
こういう昔のリアルな性生活のことはなかなか判らない。知らない。調べようがない。
ジェームス三木の手帖に肉体関係を持った女性のランクがA、B、C等で表わされていたことがあって、結構批判されたけれど、こう考えてくるとあの手帖も文学的歴史的価値は「断腸亭日乗」並に高いものなのかもしれない。
いまからでも出版すべき、かもしれない。

しかし「断腸亭日乗」の岩波文庫版は上下巻なんだけれど全文ではない。どうも全文でないものを読む気はしないんだなあ。
「断腸亭日乗」だけでなく、永井荷風の小説もあんまり文庫では読めない。
ちくま文庫にでもならないかなあ、と思う。
永井荷風は1959年に死んでいるのでもう少しで死後五十年になる。そうなったら色々な出版社が文庫化するのだろうか。

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