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堀江敏幸『未見坂』

2021年06月11日 22時57分29秒 | 文学
堀江敏幸『未見坂』(新潮文庫)を読んだ。
毎週見ているテレビドラマの『大豆田とわこと三人の元夫』で松たか子が「続編は一作目を超えられない」と離婚した夫婦の復縁の比喩として語っていた。『未見坂』は『雪沼とその周辺』の続編のようなものなのだが、やはり超えられていない。
このところ堀江敏幸の小説を集中的に読んできたが、最初に読んだ『雪沼とその周辺』を、しかもその最初の一篇である「スタンス・ドット」をどれも超えられていないなと思う。「スタンス・ドット」は彼の小説を最初に読んだせいもあってちょっとドキドキした。
『未見坂』は四つ目の「方向指示」から『雪沼とその周辺』の続編なのだなと感じた。それまでは続編ということを忘れていた。
「方向指示」は理髪店の話なのだが、髪を切る作業が詳細に描かれる。そのような、手仕事を詳細に丁寧に描いてしんとした気持ちにさせるのが『雪沼とその周辺』の良さだったと思う。やはり終わりはそんな終わり方なのかなと疑問にさせる終わり方。
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