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レイモンド・カーヴァー『ビギナーズ』

2019年01月15日 23時00分32秒 | 文学
レイモンド・カーヴァーの短編集『ビギナーズ』(中央公論新社)を読んだ。
『愛について語るときに我々の語ること』の、編集者に切り刻まれる前のバージョンらしい。『愛について語るときに我々の語ること』は未読なのだが、いま読んでいるものから短くなったものだと思えば(そしていま読んでいるものがおもしろいので)、あまり読む気になれない。
いまレイモンド・カーヴァーのことがものすごく好きであると言える。彼の書いた小説はとてもおもしろい。

「浮気」
息子に自分の浮気について語るという状況がすごい。

「出かけるって女たちに言ってくるよ」
こんな感じのつらいものも(つらい話も多いのだがここまではつらくない)、書くのだなと思った。いままで読んだものとちょっと印象が違う。

「もし叶うものなら」
ビンゴゲームの話。最後は祈りの話となる。「大聖堂」にも通じる。

「足もとに流れる深い川」
あることで配偶者が信じられなくなる。気持ち悪くなる。

「ダミー」
「足もとに流れる深い川」と同じく、川と死の話。

「静けさ」
語り手は一言もしゃべらず、周りの人間がたくさん話す。そして全く別の心境にある。

「隔たり」
すばらしい。子育ての地獄。でも振り返ると幸福。

「ビギナーズ」
表題作だが、終わりが悲しくあまり好きになれない。でも上手くて惹き込まれる。
神学校に入っていたという話があり、「大聖堂」のような終わりを期待するがそんなことはなかった。
いろいろな話があり、どう受け止めれば良いのかよくわからない。

『ビギナーズ』のためのノート
編者のノートに、レイモンド・カーヴァーが編集者(ゴードン・リッシュ)に宛てた手紙が載せられているがとても切ない。
こんな手紙を読むと、ゴードン・リッシュに切り刻まれた短編集『愛について語るときに我々の語ること』をますます読む気になれない。
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