ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

赤坂真理『東京プリズン』

2014年07月22日 00時05分17秒 | 文学
赤坂真理『東京プリズン』(河出文庫)を読んだ。
話題作なので期待していたのだけれど、ぜんぜんおもしろくなかった。
今風のことばで言えば残念な作品だった。
村上春樹がリズムのない文章は読めないと書いていたけれど、こういうもののことを言うのだろうかと思った。読み終えるのに苦労した。
天皇の戦争責任に関するディベートが行われるということで、何とかそこを読まねばと思い読んだ。が、そこもおもしろくなかった。
大江健三郎の『取り替え子』(過去との対話)と宮崎駿監督の『もののけ姫』(鹿)と村上春樹の『1Q84』(リトル・ピープル)などを思い出すことがあった。”リトル・ピープル”というのはもうすでに一般的な日本語になってしまったのだろうか。
日本語に関して言えば「憮然」を間違って使っているとその作家の作品をもう読む気がしない。夏目漱石を読んだことがないのだろうかと思ってしまう。「怒った顔」という意味で読んでいると必ず意味が上手く取れなくなるときが来るはずだと思うのだが。しかも間違っているひとに限って多用する。どうしてそんなに憮然と言いたいのだろう。
最近読んだものでは村上龍は正しく使っていたと記憶する。が、憮然という言葉が登場すると、落胆しているのか怒っているのか、どっちでこの作家は使っているのか判断しないといけないので困る。

戦後文学を考えさせる作品を期待していたが、期待外れでした。
赤坂真理が自分の思いのすべてを注ぎ込んだのだろうということは理解できるが、それがあまり客観視できていないように感じた。思い出したのは河瀬直美監督の『殯の森』。
作者の思いが強いことが必ずしも読者の感動にはつながらない。
コメント