センスプロデュース研究所!

ヒトの五感と脳の関係、ヒトの五感の重要性の提唱、研究を行っている者です。

ワインが五感を刺激する!

2008-12-04 00:00:26 | 感覚、五感
私はお酒が飲めないのでワインを楽しむ事はあまりないが、私の家内がワインを飲むので我が家には小型のワインクーラーが備えてある。
良くワインのソムエルが行なう一連の動作こそ、ヒトの五感を総動員し、刺激するのである。
まず、ワインをワイングラスに注ぐ(音を楽しむ)「聴覚」が刺激される。このときにヒトの脳内では聴覚野(側頭葉)が刺激される。次にワイングラスのワインの香りをきく「嗅覚」このときには、大脳辺縁系が刺激される。
ワインの色を愛(めでる)「視覚」、このときには脳の後頭部が刺激され、視覚野が刺激される。
そして、味わう、適度な冷たさ「冷温覚」、喉越し「触覚」 舌触り「触覚」など味覚と思われているが、実はこれは触覚に分類されるのである。
次に、ワインの美味しさ、酸味などの味わいを味覚で感じ、以前に飲んだワインなどの記憶を引き出し、好みの味や香りなどと感じるのです。
私達が、喉越しと感じるのは触覚が関わっているのだが、一部喉の奥にも味蕾細胞が存在しており、ビールなどの泡で喉越しとして感じるのである。
高級なビールほどこの泡が細かく、クリーミーな感覚なのである。
つまり、喉越しを重視しているので美味しいと感じるのです。
このよに飲食物は五感を刺激することで美味しくもあり、不味くも感じるのです。
一流のレストランほど、ヒトの五感を刺激する演出に拘っている。視覚、嗅覚、聴覚、触覚などの演出が料理を引き立てているのである。
器や出された料理の彩り、心地よい音楽や高級感なども料理を引き立て、ヒトの味覚を刺激するのである。
これら「複合感覚」と呼ぶが、ヒトの味覚はそのときの雰囲気や環境、仲の良い友達、恋人、家族団らんなどの関係にも影響する。
また、美しい景色を眺めたり、好みの音楽を聴きながらの食事は、とくに美味しく感じる。
これらの経験が味の記憶として長期間残るのである。
これら科学的刺激味は、脳の中で統合され(味わい)として認識されます。
飲食物の味は、その中に含まれた物質からヒトの唾液に溶け出した味物質が味覚受容体で受け止められ、科学的刺激によって生じる、匂い、温度、舌触り、色、形、光沢の有無などを認知し、味覚細胞以外の感覚神経の影響を受ける複合感覚によって、飲食物がより一層美味しく感じるのである。
また、個人や民族の食習慣、食体験にもとづく嗜好や食中毒、不味いなどの体験記憶からも影響を受けるのです。
昨年の11月に私が神戸のFMラジオ局の取材、出演で五感ウィークの最終日に「視覚と味覚の関わり」についてコメントしたが、ミシュランガイドの三つ星レストランなどでは、このヒトの五感を刺激する工夫や演出に拘り、見た目の良さ、香りの演出、音のとのコラボレーションなど、これらヒトの五感を刺激する方法をよく理解しているのである。
だから、そのレストランは美味しく、常連さんが並ぶのである。
ワインも高級なワインほどカビ臭いとか酸味が強いなどの飲み慣れないヒトには、不味いはずである。普段から飲み慣れたカジュアルワインの方が美味しいはずである。
私もあまりお酒は飲めないが、以前に大手企業の会長の接待で一本15万円のワインを一口飲んだら、カビ臭いような感じと、ドロッとした舌触りがしたのを覚えている。
会長はこの癖が高級ワインの証だと語ってくれたことを思い出す。
また、和食などでも同様に器や箸、料理の彩り、料理中の音、勿論香りも重要である。
私共が以前に大学の生徒に協力して貰い、同じ料理内容の物をフォークとナイフで食べた時と箸で食べた時の脳波と脳血流変化を測定し、どちらの料理が美味しく感じるかの実験を行なったのである。
和牛のハンバーグを味付けも調理方法も同じ料理を出して、食べて貰ったのである。
最初、この料理をフォークとナイフで食べたときには、脳の血流や脳波もあまり変化は現れなかった。味覚野の一部が刺激されていただけなのである。
逆に箸を使って食べたときには、前頭葉、頭頂野、味覚野など脳全般に渡って刺激されており、私達は予想外の結果に驚いたのである。
ヒトが料理を箸を使って食べる行為は、指加減、箸を握り動かすことで頭頂葉「体性感覚野」触覚に関わっている脳部が活性化しているのである。
ナイフとフォークでは握っているだけなので頭頂葉はあまり刺激されないのである。
箸で食べることは触覚以外にも複合感覚が働き、前頭葉に働きかけ、脳が刺激されているのである。
実験を行なった生徒4人に聞き込み調査を行なったら、同じ料理なのに箸で食べた方が美味しかったと語ってくれたのである。
また、ワインも飲ませ、普通のグラスのコップとワイングラスに同じ種類のワインを入れて飲ませたら、やはり、結果はワイングラスの方のワインが美味しいと感じたのです。
このようにヒトの味覚は、視覚、嗅覚など複合感覚が深く関わっているのです。
ですから、レストラン経営の人達や家庭でも、奥様が家庭料理を出すときに少しの演出をしてみることである。
何時もの器から新しい器に変えるとか、箸に拘ってみる。BGMを流してみる。テーブルに花を飾ったり、薄暗くしてキャンドルの明かりで食事をするなどの工夫をすれば、きっと出された料理が数倍美味しいと感じるはずである。一度トライして見てください。
これからクリスマスシーズンです。ヒトの五感を刺激する演出、創意工夫で料理もワインも美味しく感じ、少なからず幸せを感じられたら幸いです。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする