混雑緩和策のズレかた

2007-02-14 00:00:26 | マーケティング
3cf5c884.jpg通勤に東急田園都市線を使っている。急行は、あまりに混むので各駅停車に乗る。遅れている時は急行を使うのだが、同じレールの上を走るので、いずれにしても大差ない。そして、毎日のように遅れる。それも数分遅れということはなく、10分遅れはしょっちゅうで、月1回は30分以上遅れる。定刻通りなのは週に1回というありさま。

遅れ始めた時期は、ちょうどJR西日本の福知山線事故の後であるが、ちょうどその頃に、東急と地下鉄と東武の相互乗り入れが始まった。回復運転の禁止が原因なのか、相互乗り入れが原因なのか、あるいはこの沿線の人口は増え続けているので、自然に乗客があふれてしまったのか、いずれかはよくわからないが、もともと、回復運転困難な路線なので、やはり相互乗り入れで1本の列車の遅れが全線に波及するのではないだろうか。よく車両故障で遅れ、JRや私鉄への振り替え輸送が行われるが、そういう費用の負担は、乗り入れ3社の連帯責任になるのだろうか。あるいは故障した車両の所有会社が負担するのだろうか。

そして、最近、この対策案が駅構内に掲示されていて、驚いたのだが、「混雑緩和対策」となっていること。実は、混雑は、そこそこである。もっとも必要なのは「遅延防止対策」ではないだろうか。もちろん。この二つは関連するのだけど。では、3つの策とは・・・

1.急行廃止、準急化。
 要するに、二子玉川と渋谷の間には、「用賀・桜新町・駒沢大学・三軒茶屋・池尻大橋」の5つの駅があって、急行は三軒茶屋だけに止まっていたのだが、廃止。どの電車も各駅停車にしてしまうということだそうだ。奇抜な対策である。ダイヤの上では、今まで急行が13分、各停が17分だったものを急行を廃止すると15分になるということ。アキレスと亀の状態で、アキレスがいかに走っても亀がつかえてしまうから、今度は全部亀にしようということなのだろうが、苦渋の一手ということなのだろう。もともと、実際には17分以上かけて走っているから、どうなることやらだ。あまり、根本的ではないような対策だ。

2.大井町線に急行投入開始。
 田園都市線は、横浜、川崎の北部から、二子玉川、渋谷を通り大手町方面に西から東へ直線的に入ってくるのだが、途中、多摩川を渡って都内に入ってきたところの二子玉川から直角に南下して大井町線が分かれる。そこに急行を投入して、輸送量を分離しようというのだが、いくら急行を投入しても、直角に曲がるのだから遅くなる。さらに、今度は大井町線の中で急行と各停が混在するので、そちらが遅れそうだ。これも根本的でないような。

3.新型車両を追加導入。
 事故の少ない5000系という車両数を増やすことによって、車両故障による遅延→混雑の確率を減らすということらしい。この5000系は多くの私鉄が採用を増やしているのだが、要はJRの開発した車両そのままらしい。同じものなので設計料がいらないようだ。さらに、電車の中央付近の混雑の激しい場所は6ドア車を入れるそうだ。乗降の時間短縮と座席を収納してしまうと乗車可能人数も増える。あくまでも、電車が遅れることではなく、混雑することを解消しようとしている。混雑と遅延はニワトリと卵の関係ではあるが、今後、団塊世代が通勤電車からリタイアすると、混雑問題より遅延問題のほうが重要になるような気がする。

そして、この6ドア、座席収納方式なのだが、JR山手線のように利用時間が短いならいいのだが、私鉄のように端から端まで長いものに導入してもいいのだろうか。席がないのだから、座れるわけもない。さらに、昼間の空いている時間でも6ドア車のシート数は少ない。6つのドアの間の5つの空間に3人掛けがあるので、片側で15人。左右で座席は30人分。普通の4ドア車は端から、3人、7人、7人、7人、3人で27人。左右両側で54人分の座席がある。


むしろ逆に、私鉄にもグリーン車があってもいいのではないだろうか。たぶん3割位の席をグリーン車にしてもいいのではないか。さらに1両だけシルバー車とかあってもいい。グリーン車の上がりでシルバー車を割り引けばいい。黒塗りハイヤーの社長族も電車を使えばCO2対策にもなる。

そして、対策は3つだけなのだが、やはり、根本的には3社相互乗り入れは解消したほうがいいのではないだろうか。どこかでトラブルが発生すると、共倒れになるからだ。それに車内広告だって、あまりにも遠い東武の遊園地を見ても行く気にはならない。

そして、現在、山手線西側と並行して建設中の都営10号線(渋谷~池袋方面)が完成すると、東急東横線(みなとみらい線)と都営10号線とさらに東武線と西武線と全部一体化するらしいのだが、たぶん、今の田園都市線と同じように毎日、自然渋滞することになるだろうと予測するのである。  


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