原油価格の落ち着く場所は

2015-01-23 00:00:49 | 市民A
ここ数日の原油価格の報道を調べていると、今後、原油価格はさらに下落し20ドルまで下がった後、40ドル前後で落ち着くだろう(元東燃社長)という論と再び上昇に転じ100ドルまで上がるだろう(元Shell幹部)という論がある。下落派も上昇派もいわゆるテクニカル分析の上に立つ。

実際、過去と異なり、原油というのが、特定の需給論理で動く時代は過ぎ去り、LNGやコンデンセート、石炭とか太陽光発電などと、ボーダーレス商品になっているため、予測はかなり困難なのではあるが、短期的にはともかくコスト論的にみると大きく二つの生産パターンがある。陸上油田と海底油田である(海底油田は海上基地で掘削するため海上油田と呼ばれることが多いが、おなじことである)。陸上油田のコストは約20ドルと言われる。そして海上油田のコストは約60ドルと言われる。そして、新規開発はほぼ海上油田であるため、いまや30%~40%強が海上油田と言われている。つまり海陸比率によって各産油国の収益は大きく異なる。そして、原油は徐々に枯渇に向かっているといえるわけだ。

そして、シェールガス付随原油は平均コスト50ドルと言われている。もちろんここまでの各コストは平均であり、その中にももっと高い油田やもっと安い油田がある。

そして、世界の原油生産量だが約87,000,000バレル/日と言われる。1バレルは159リットルなので、計算すると、毎日13,831,479m³もの大量の地下物質が地上に掘り出され、すべて二酸化炭素になるのだから恐ろしいとしか言えない。実は原油価格の急落や急騰は石油開発が始まった100年以上前から始まっていて、20分の1になったりする。その都度、破綻者が大量に現れ、大手(メジャー)に買収されてきた。

では、どれくらい需給ギャップが起きると価格が急騰急落するのかというと、総供給量の3%と言われる。87,000,000バレルの3%は2,600,000バレル。実はシェールオイル付随原油は2,000,000バレルと言われるのでほぼ同じようなレベルである。つまり起こるべくして起きた大暴落といえるわけだ。

そして、どこで均衡するかといえば、限界生産コストである60ドル位だろうといえるのだが、実は、これよりコストの高い人もいたり安い人もいる。その時に起きることは一つのシナリオはメジャーがシェールガス掘削装置を安く買いたたくとか、産油国の一つが壊滅するとかいうこと。しかし、ベネズエラで起きていることは経済崩壊というより通貨崩壊。実際には、少し前まで60ドルだったので、大したことは起きないのではないだろうか。と思うと、結局メジャーとサウジが再びエネルギ-の支配者となるのではないかと考えている。


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