ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

Zundappのトランスミッション

2010年07月10日 | トランスミッション

Victrans2b

この画像はVictoria V35で紹介したが、残念ながら興味はいただけなかったようだ。

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Zundapp_ks750_snowplow_finland ttp://www.cybermotorcycle.com/gallery/zundapp/

話は変わって雪掻きをしているZundappのサイドカー。多用途車としてミリタリー仕様としても相当数の生産があったようだ。

717537185ttp://zundappks-600.skyrock.com/

Zundappは4気筒モデルもあったが、サイドカーの取り付けを最初から織り込んである設計と見られるチャンネルフレームは当然のことながら閉断面ではないものの、当時としてはかなり堅牢と思われる。

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冒頭のVictoriaのトランスミッションと同様の構造が見て取れる。

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メインとカウンターの組み合わせ。

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チェーンを取り除くと当然ギアではなくスプロケットだ。

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これはずっと前に”スポーツスター4速ミッション トラブル”で紹介した画像だが、現代の常時噛み合い式ではメインシャフトとカウンターシャフトの変速比の違う組み合わせのギアが常に噛み合い回転していて、ギア位置をセレクトしたシフターフォークがドッグクラッチを動かすようになっている。

1930年代のドイツ車ではギアではなくチェーンを使った真相は不明だが、考えて見れば違うギア比の組み合わせを適切なバックラッシュで複数組を生産するのは困難だったのだろうか。チェーンならそのあたりの問題はでないので、多少の機械ロスには目をつぶっていたのかもしれない。

まあ、それはともあれ画像の転載元(ttp://zundappks-600.skyrock.com/)では克明にレストアの模様を綴ってあるのでご覧いただきたい。

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ミッションがグラグラ!?

2007年12月20日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  わりと暖かい。

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*明日のバイクを考える会 忘年会のお知らせ

締め切りを過ぎましたが、まだ人数に余裕があります。是非ご参加下さい。

日時   12月28日20時~

場所   JR上野駅からすぐ(ご参加の方にお知らせします)

会費   お一人様 ¥4,200(税込)
      バイキング形式の食事付き飲み放題コース   

お申し込みはコチラにお願いします。

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ハーレーダビッドソンの4速ミッションは、赤矢印のプレートを介してフレームに固定してあります。

そのプレートは緑矢印のボルトで固定してあります。

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画像はショベルエンジンの時代のフレームですが、4速ミッションのスイングアーム フレームはおおよそ共通と思われます。

赤矢印の前側マウントはナット付きのボルト、緑矢印の後ろ側マウントはフレームにネジが切ってある、いわゆる”タテコミ”といわれる方法。

青矢印はミッションケースの右側を固定するためのタブ。長穴になっているのは、プライマリードライブカバーがブリキ製の時代にはチェーンアジャスターがないため、トランスミッションを前後に動かす必要があったときの名残。

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クローズアップすると、雌ネジが切ってあるのが分かると思います。

この上にプレートが載って固定してありますけれど、ボルトが緩んだまま使い続けると、トランスミッションには大きな力が掛かりますので、当り面どうしが擦れあって磨耗し更にネジの緩みは進んでしまいます。

その症状が進むと、ネジ山まで痛んでしまうことがあるようです。

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ダメになったのがボルトだけであれば交換するだけの簡単なことですが、フレーム側の雌ネジが壊れた対処方法としては、最終的にはフレームを一部だけに交換すれば、どんな悪い状態になっていても修理は可能ですけれど、かなりの大掛かりな作業になります。

ネジだけ直すのであれば、リコイルとか径のオーバーサイズも可です。

更に簡単な方法を考えてみましょう。

上の画像の短いボルトは、パーツリストに記載されている1941~1977年まで適合するサイズ、つまり3/8(約9.5mm)径の24山のネジで長さは11/4インチ(約28.5mm)。

ミッションプレートの厚さは1/2インチ(約13mm)ですから、画像のような位置関係になります。

画像の約10mmほど長いほうのボルトを使って、根本的な修理とは言えないまでも対処してみましょう。

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まず奥までタップを入れてみました。

使われていなかったネジ山に付いた汚れは取れましたが、金属くずは少ないので奥のほうまでネジ山はあるようです。

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撮影してみると、目で見るより現状を把握できました。奥までネジ山があるのを確認できます。

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実際に使う”長いボルト”を可能な限り入れてみて、赤両矢印の寸法がミッションプレートの厚さより小さければ安心できます。

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レブテックトランスミッション③

2007年05月12日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  今日は強い風も吹かないで良い気候。 

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レブテックも純正も構造は全く同じで、足元のチェンジペダルを操作するとロッドで繋がったシフターロッドレバーが赤両矢印のように動きます。するとシフターカムポウルが緑両矢印のように動き、先端の爪がシフターカムのピンに引っかかり回転させます。

黄矢印のシフターアーム・アジャスティングスクリューはシフターポウルの相対位置を調整するためのものです。

この画像では分かりやすいように、こちら側のシフターカムサポートを外してあります。

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シフターフォークを外すために、矢印のシャフトを抜き取ります。

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後でも外したシフターフォークの位置と向きが分かりやすいように、このように仮組みしておくと良いでしょう。

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赤矢印のニュートラルスイッチは、シフターカムの緑矢印の部分と接するときにだけ回路が形成されます。

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つまりこういう事です。このスイッチはアースコントロールですので、ニュートラルインジケーターから配線は1本だけです。

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ギアポジションを保持するために、このような仕掛けになっています。

緑矢印のローラー・カムフォロワーが赤矢印(ここはニュートラルポジション)のカムの谷間に入り込むことにより、シフターカムが勝手に動かないように保持します。ニュートラルポジションの前後はカムの谷が浅くなっていることに注目してください。

主にチェンジペダルを操作するときの感触は、この山を乗り越えるときのものです。

カムフォロワーやココのカムの不良は、ギア抜けなどのトラブルの原因の一つになります。

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外すべきものを全て外しメインシャフトを矢印の方向に押せば、ベアリングハウジングに固定されたメインシャフトとカウンターシャフトはソックリ外せます。

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レブテック トランスミッション ②

2007年05月08日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  今日は30℃以上? 

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アッパーカバーを外した状態です。カバーはホントの蓋だけですから5本のスクリューを外すだけです。パッと見た目は純正ミッションより出来が良い?

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シフターカムは両端のサポートごとそっくり外れます。

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クラッチリリースカバーも外しておきます。

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緑矢印は悪名高き”シフターシャフトスプリング”で、これが折れるとチェンジペダルがブラブラになって、ギアチェンジが不可能になります。

コレを交換するためにシフターシャフトを抜く必要がありますけれど、赤矢印のようにカウンターギアに干渉するためにゴッソリ分解することになります。

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純正部品は普通の丸断面のスプリングですが、これは角断面になっていますね。

これによって寿命が長くなっていれば良いのですが。

トランスミッションの各部品は強度が求められますから、見た目だけでなく素材や熱処理など複雑な要素があります。

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レブテック トランスミッション

2007年05月06日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  予報通りの結構な雨降りです。

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”ある事情”により未使用のレブテックトランスミッションを分解いたしました。

本来は2月頃には行いたかった作業でしたが、中々時間がとれずに・・・・。

いざやれば、それほどの時間が掛かるわけではありませんね。

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未使用品ですから、当然新品同様?

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プーリーを外すには緑矢印のロックスクリュー、ロックプレートを外して赤矢印のナット(逆ネジ)を緩めますが、今回の場合はロックタイトが効いていて緩みません。

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ロックタイトを無効化するには、加熱する必要があります。

ヒートガンで炙ること1時間!

といっても場所が場所だけに、バーナーを使う気にはなれませんね。

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だいたい120℃で無効化されると思いますが・・・。この温度でも緩みました。

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矢印のベアリングレースも外します。

オープンプライマリーなどにカスタマイズするときも、この作業が必要な場合が多いのですが、画像のSSTがないと苦労しますね。

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メインシャフトの端部を強く押しますから、このアダプターも必要です。

*最近はブログの更新作業に不穏な動きが見られ、大量の画像をアップすると途中で消えてなくなってしまうことがありますので、続きは次回になります。

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結露で?

2007年04月15日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  今日も天気は良かったのですが、昨日より気温が低いです。

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予期していないことが起きるとビックリしますね。

継続車検のついでのオーダー作業で、トランスミッションのオイルを交換しようとドレンを外したら、ご覧のような白濁した液体が出てきました。

かなり前にこのような光景を見たことがありますが、北海道の帰りに台風の豪雨の中を走破して、ミッションのブリーザーから雨水が混入したと思われるトラブルでした。

この車両は前回の車検から2千km程度しか走行していないので、原因は結露?

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これくらいの乳化が起きると、デイップスティックを見ても分かりますね。

結露といっても、場合によっては多大な被害を及ぼすことがあります。

ヤマハのグランドマジェスティでは、1万数千台のエンジン交換という処置のリコールが発表されています。

詳しくはttp://www.yamaha-motor.co.jp/recall/mc/recall/2007-04-12/index.html(先頭のhはコピペするときに付け加えてください)

まあ、トランスミッションの内部には燃焼で生成された化学物質は存在しませんから、あまり心配はしなくてもよいのでしょうけど、台風が原因のときは4~5回オイル交換して、やっと濁りがなくなったような覚えがあります。

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同じ車両で、プライマリーのオイルもこんなに汚れていましたから、基本的にはメンテ不足ですね。

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シフタードラム異常磨耗!

2007年02月20日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  今日はどんより曇り空で寒い。 

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急遽、第3回「明日のバイクを考える会」を開催することになりました。第2回に都合のつかなかった方も是非ご参加ください。

1、日時    3月1日(木) 午後6時30分から

2、場所    池袋周辺 参加者には詳しくお知らせいたします。

3、お申し込みはコチラにお願いします。

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今回の記事は初めての試みですが、読者の方から寄せられた情報を元に、すぽさんのブログ”883スタイル”から了解をいただいたトラブル情報です。

すぽさんからは「多くのスポーツスターオーナーに、こんなこともあることを知らせてください」とのコメントもいただいています。

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’04年以降のスポーツスターでは、エンジンを降ろして分解するか、このような状態にしないと、トランスミッションにアクセスできません。

もっとも、’03年までのスポーツスターのようにカセット式になっているほうが、ユニットエンジン(エンジンとトランスミッションが一体構造)では特異な存在です。

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’03年以前の5速ミッションではディテントプレートの固定部分にトラブルが多かったので、この’04年以降では矢印が示すようにシフタードラムと一体構造になっているのが分かります。

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赤矢印のシフターフォークのピンがシフタードラムの溝に噛み合っていて、ドラムを回転させることによりシフターフォークを左右に動かし、任意のギアポジションにシフトします。

黄矢印が今回のトラブルで、ニュートラルポジションと1stギアの間が磨耗して、当たり面が荒れてしまったようです。

この溝を使っているシフターフォークは1速⇔ニュートラル⇔2速をコントロールしていますから、この間の操作が円滑ではなくなったでしょう。

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これは品質をとやかく言われたAMF時代の、ロータリートップと称されたビッグツインの4速ミッションのシフターカムです。シフタードラムと同じ役割ですね。

何万km走行したか不明ですが、矢印の示す部分に磨耗が見られます。しかしこの程度では変速操作に支障はありません。

保証修理は?

”すぽ”さんのスポーツスターは生憎、登録から2年と半年が経過してしまい、保証修理の対象ではないと通告されてしまったようです。

最近モーターサイクルメーカーは2年保証が主流で、口火をきったのはイタリアのD社だっとような記憶があります。

ただ、1年保証から2年保証に移行したことに手放しでは喜べない事情もあります。1年保証の時には明らかにユーザーの使用責任ではないと認められたときは、期間的には緩やかに保証修理が行なわれていましたが、2年保証では厳格に判定される傾向です。

グレーゾーンの見直しがここでも?

ハーレーダビドッドソン社での保証期間の延長は、品質への自信の表れなのか?それとも単に時流に乗ったのか?拡販戦略なのか?

リコール?

保証修理とは別にリコール制度があります。

詳しくはリンク先を読んでいただきたく思いますが、ご存知の通りリコール隠し事件が頻発したために、国民と監督官庁である国土交通省も敏感になり、リコール対策室が設置されており、電話での対応も中々丁重であります。

ワタシが電話で確認してみたところ、

  1. 故障内容はメーカー側に説明していただきたい。メーカー側には故障の理由を説明する義務がある。
  2. 保証修理か否かは”誰が修理代を負担するか”の問題であって、原因の追究とは別問題。
  3. 納得の行く説明がなければ、リコール対策室がメーカーに(説明するよう)指導する。

リコールには多大な費用が掛かりますから、隠そうとしたメーカーもあるくらいです。ですから、リコール対策室もそう簡単にユーザー一人一人の言うことを全て細かく聞くことはないかもしれません。しかし原因の追究を求めるユーザーには支援を怠らないようです。

しかし、しかし!

私の過去の記事”5速ミッションまたもや”でも書きましたが、ミッショントラブルは重大事故につながることが考えられ、他人事では済まされません。

今回のケースでも、交差点を曲がる時にギアが抜けてしまい、あてにしていた駆動力がなくなってしまたら、転倒して他のクルマに轢かれてしまうことも考えられなくありません。

首都圏内は世界的に見ても稀に、広範囲に慢性的な渋滞路が存在しています。その中を走り回ることはトランスミッションに過大な負荷を掛け続けることで、メーカーの耐久テストでも中々想定できるものではありません。

それが特異な使用状況だとすると、責任は何処にあるのだろうか?

日本の窓口がアメリカ本社に報告しても、日本独特のトラブルと判断されて、対処するまで至らないのか?あるいは日本窓口で(苦情の多さに?)機械的に否定するのか?

”5速ミッションまたもや”のケースでは、ドッグクラッチ部分が割れてしまったのですが、この原因については、

  • ドッグ基部の厚みが足りず、強度がギリギリ。
  • 材質や加工(焼きいれ処理など)のバラツキにより、強度が不足の固体が存在。

とワタシは思います。

今回のケースのシフタードラムの”異常磨耗”でも製品のバラツキが原因と思われ、適切な検査を行なえば、すぐに判明するでしょう。

苦情を受ける側の言い分は、オイル管理、使用状況、などを挙げますが、オイル管理が悪くてドッグは割れません!

オイル管理が悪くて故障するのは、まずベアリングやギアの歯が磨耗粉によって当たり面が荒れます。その辺りをみれば一目瞭然ですね。

シフタードラムの異常磨耗も同じことです。

製品の向上を常に目指し、ユーザーに余分な負担を掛けないメーカーの姿勢であれば、クレーム修理の防波堤を作る前に、故障の究明がまず先であることを強く感じます。

伸びる会社は”聞き上手”なのは間違いないでしょう。

ユーザーの要求が「タダで直そうという魂胆」ではないと理解して、滅多にない故障を飛んで見に行く担当者がいるような体制になれば、ワタシも惚れ直してしまいます。

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スポーツスター4速ミッション トラブル

2006年12月14日 | トランスミッション

人気blogランキングへ  1日中グズついた天気でした。冬だというのによく雨が降るのは地球温暖化の影響か?

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*スポーツスターのトランスミッションの記事について反響が大きくありましたので、4速ミッションの珍しいトラブルを紹介することにいたしました。このブログを始める前のできごとですから、記憶に基づいた記述になりますので、手元に詳しい資料もないため、誤った内容の可能性があることを予めおお断りいたします。

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’80年ころのいわゆるアイアンスポーツスターのトランスミッションです。

症状はトップギアが滑るということです。クラッチが滑るのとは異なりカクっカクッと駆動力が失われる、ドッグクラッチが確実に噛み合わないと出る症状です。

写真では分かりづらいかもしれませんが、矢印の示す部分に異常がありそうですね。

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クローズアップすると、赤矢印のシフターフォークと青矢印のギアのほうに・・・・。

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右が矢印のように異常磨耗しているシフターフォークです。左側は新品部品です。

写真を撮っておかなかったのが悔やまれますが、異常磨耗した部分の反対側はへら絞りをしたように盛り上がっていました。

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現物はもちろん在りませんから、5速ミッションを使って説明します。

シフタードラム(4速ではシフターカム)が回転することによりシフターフォークを黄矢印のように動かし、ドッグクラッチの付いたスライドギアを赤矢印のようにシフトします。

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ドッグの歯にはご覧のように逆テーパー角が付いていて、トルクが掛かってもギアが抜けにくくなっています。

余談ですが、昔の日本車にとってはこの構造はコストが掛かり高級なメカニズムであったと言う記憶があります。

この逆テーパードッグは青矢印のような力関係になり、赤矢印の合成力が働きます。トルクが大きいほどこの合成力は大きくなりますから合理的ですね。

ところが、緑矢印の示すクリアランスが問題になってきます。

シフターフォークの移動量はシフターカムによって決まっており、それ以上は動きません。

つまり、緑矢印の示すクリアランスが過度にあると、シフターフォークを動く範囲以上に押してしまうことになり、今回の異常磨耗、変形を引き起こすことが考えられます。

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純正部品を使って組み立てたところ、今度は3速の入り方が悪いではないですか!

おまけに矢印の示すように、異常磨耗の兆候が現れています。

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黄矢印は+0.020と書いてありますが、これは青矢印の示すオフセット量を標準に対しての値です。

Vツインからリリースされているこの部品は、ブラスとスチールの材質により2種類あり、それぞれに標準、+-0.010~0.030(0.005はスチールのみ)と揃っています。

そして異常磨耗に強いと思われるスチール製を使うことにいたしました。

25年以上も経った車両が急にこのような事態になった理由を考えてみると、オーナーが変わったことが大きく作用していて、故障が起きる前後の状況を良く聞いてみると判明したのです。

つまり、3速ギアでフルスロットルにしてフル加速です。

今までは丁寧に乗られて、このようなトラブルは起きなくても、乗り方が変わるとコンナ事が起きてしまう事例です。

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ちなみにビッグツインの4速ミッションのシフターフォークは、矢印のシムを調整することにより、オフセットを変えることができます。

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5速ミッションまたもや!②

2006年12月12日 | トランスミッション

人気blogランキングへ 心配していた雨も小降りで、夕方は晴れ間も見えてます。

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まんじゅうブログに続いて煎餅ブログ!  ではありません。

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もうずいぶん前に聞いた話ですが、某メーカーの設計部関係者によるとミッションギアには「煎餅みたいな鍛造素材を使う」とのことでした。

鍛造素材は写真に描いた線のような工程による力の加わった方向に鍛流線(メタルフロー)が生じ、これを利用すると強度の高い部品を作ることができます。

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つまり、このようなギアであれば放射状の鍛流線(メタルフロー)は、描いた線のようにギアの歯先まで分断されずに存在して強度に貢献します。

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有名なキャリロのコンロッドの工場を5~6年前に見学いたしましたが、やはり鍛流線はかなり重視しているようでした。

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ギアの話に戻りますと、4速ギアは壊れていますので他のギアの写真になりますが、トルクは水色矢印の方向に掛かると、ドッグクラッチの歯の根元には赤矢印のような合成力が掛かると思います。

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破片を見ると同じような形状になっているのが興味深いです。青矢印に掛かったトルクにより水色矢印の方向にはがされたように見えます。

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金属が破断されるときは、結晶の境目から破壊されると言われていますが、この破断面をみてもそうですね。

赤矢印青矢印の面では力の掛かる方向が違ったのか,ちょっと異なって見えます。

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話は戻りますが、ギアを作るのに①のような棒材を使うと調達が簡単で安価にできますが、②のように鍛流線が分断されて強度は得られません。”煎餅のような素材”を使えば③のように最適な鍛流線ということになります。

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単純なギアでは話も簡単ですが、写真のようなドッグクラッチ付きではどうでしょうか?

矢印の板状ドッグ基部では放射状の鍛流線は、強度に貢献する方向とは違ってしまいます。

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現実に壊れた破片を詳細に観察してみると、ドッグに掛かるトルクを受け持つ基部の厚さは僅か2.6㎜、そして赤矢印の示す本体とのオーバーラップも同じような寸法です。双方とも1㎜でも大きければ随分と結果は違うと思いますが・・・。

このように見ただけでも脆弱な部品は、計算上でも強度に余裕があるとは思えません。そうなると硬化処理や鍛造行程、原材料の僅かのバラつきでも、壊れてしまう可能性が高くなります。

ワタシは専門外ですから時間もありませんので、ドナタか強度計算してみませんか?

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スポーツスター5速ミッションのトラブル情報は引き続き募集しています。メールはコチラ

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5速ミッションまたもや!

2006年12月10日 | トランスミッション

人気blogランキングへ 昨日の雨がウソのようですが、日が暮れると冷たい風が吹き寒いです。

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トランスミッションが故障して、分解してみたらこのようなドッグクラッチがバラバラになって出てきました。

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写真のピントが手前に合ってしまい肝心なものはチョットぼけていますが、矢印は破損した部品がシフターフォークに挟まってしまい、ローギアしか使えなくなったのです。

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壊れた部品は1速ギアですが、4速のときにドッグクラッチが手前の4速ギアと噛合います。

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これは前回の8月から9月にかけて修理したミッションの写真です。欠け具合が違うのが分かると思います。

今回故障した車両は2003年モデルで、走行は約1万kmですね。

しかし、このような故障が立て続けに発生して良いのでしょうか?先日お会いした○○○の○○さんにお聞きしたら、4台同じ故障を修理したとか。

XL1200sは人気が高く、今でも愛用しているユーザーの方は多くいらっしゃると思いますが、このような記事を見てしまうとオチオチ寝てもいられなくなるのではないでしょうか?

壊れた破片は何度見ても強度不足に見えます。前回の記事でも書きましたが、修理するのにも金額的に痛いし、何よりもミッションロックすれば大きな事故にもなってしまいます。

ワタシも大袈裟に騒ぐつもりはございませんが、同様の故障に遭遇したユーザーやメカニックの方は是非お知らせください。連絡先はコチラ

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