ピストンエンジンは永遠か!な?

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5速ミッションまたもや!②

2006年12月12日 | トランスミッション

人気blogランキングへ 心配していた雨も小降りで、夕方は晴れ間も見えてます。

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まんじゅうブログに続いて煎餅ブログ!  ではありません。

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もうずいぶん前に聞いた話ですが、某メーカーの設計部関係者によるとミッションギアには「煎餅みたいな鍛造素材を使う」とのことでした。

鍛造素材は写真に描いた線のような工程による力の加わった方向に鍛流線(メタルフロー)が生じ、これを利用すると強度の高い部品を作ることができます。

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つまり、このようなギアであれば放射状の鍛流線(メタルフロー)は、描いた線のようにギアの歯先まで分断されずに存在して強度に貢献します。

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有名なキャリロのコンロッドの工場を5~6年前に見学いたしましたが、やはり鍛流線はかなり重視しているようでした。

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ギアの話に戻りますと、4速ギアは壊れていますので他のギアの写真になりますが、トルクは水色矢印の方向に掛かると、ドッグクラッチの歯の根元には赤矢印のような合成力が掛かると思います。

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破片を見ると同じような形状になっているのが興味深いです。青矢印に掛かったトルクにより水色矢印の方向にはがされたように見えます。

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金属が破断されるときは、結晶の境目から破壊されると言われていますが、この破断面をみてもそうですね。

赤矢印青矢印の面では力の掛かる方向が違ったのか,ちょっと異なって見えます。

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話は戻りますが、ギアを作るのに①のような棒材を使うと調達が簡単で安価にできますが、②のように鍛流線が分断されて強度は得られません。”煎餅のような素材”を使えば③のように最適な鍛流線ということになります。

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単純なギアでは話も簡単ですが、写真のようなドッグクラッチ付きではどうでしょうか?

矢印の板状ドッグ基部では放射状の鍛流線は、強度に貢献する方向とは違ってしまいます。

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現実に壊れた破片を詳細に観察してみると、ドッグに掛かるトルクを受け持つ基部の厚さは僅か2.6㎜、そして赤矢印の示す本体とのオーバーラップも同じような寸法です。双方とも1㎜でも大きければ随分と結果は違うと思いますが・・・。

このように見ただけでも脆弱な部品は、計算上でも強度に余裕があるとは思えません。そうなると硬化処理や鍛造行程、原材料の僅かのバラつきでも、壊れてしまう可能性が高くなります。

ワタシは専門外ですから時間もありませんので、ドナタか強度計算してみませんか?

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当にガンバですね、今後も頑張ってください (かぶたろー)
2006-12-12 20:45:52
本当にガンバですね、今後も頑張ってください
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分かりやすい解説ありがとうございます。 (だみあん)
2006-12-12 22:59:14
分かりやすい解説ありがとうございます。
ギアとドッグクラッチの突起は強度に関して相いれない可能性があることがわかりました。

いつも分かりやすい写真と図のアップには感動してます。特に図は時間がかかるだろうなぁと思ってます。

だからぽちっとクリックしました。(^_^;)
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私のは1足りなくて4ですが、現在OH中ですので参考... (ブローチ)
2006-12-12 23:04:24
私のは1足りなくて4ですが、現在OH中ですので参考にさせて頂きます。

詳しくは知りませんが、強度さえ満たしていれば、ギアやシャフトの製造方法に関しては、部品メーカー次第の部分もあると思います。
鍛造が得意なメーカーは鍛造と切削で、削りが得意なメーカーは切削と表面処理(焼入れ)で製作するようです。
もちろん、鍛造→切削→表面処理の場合もあります。

ドリブンスプロケにダンパーが無い場合は、どこかで過剰な衝撃力を逃がさないといけないと思いますが、それがミッションって事は無いですよね(笑)?
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あれ~、見事に割れましたね。これ、鋳造みたいに... (US05 1200R)
2006-12-13 10:51:50
あれ~、見事に割れましたね。これ、鋳造みたいに見えるのは私だけでしょうか?
この強度計算はやった事が有る人で無いと難しいですね。0時間で力が入ると無限大になりますし、条件の設定が難しいです。
どちらかというと何時割れたかの方が問題でしょうね。シフトアップ/ダウン・エンブレ、その他・・・?
2.6ミリって薄く聞えますが内径25ミリ、外径40ミリ位なら、もの凄いトルクが伝わりますよ。
実際角部の応力集中で壊れていますから手計算でココの強度出しても意味が無いですし、切り欠き係数使うくらいならコンピューターにやせたほうが正解でしょうね。でも、この辺がノウハウたる所以で・・・。
ところでこのバイク、負担の増えるチェーンドライブとかレーシングタイヤとかエンジンのチューナップとか有りましたか?
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皆様コメントありがとうございます。 (ピストン)
2006-12-13 20:18:02
皆様コメントありがとうございます。
え~、どうも2000年以降が壊れやすいようです。それほど走り屋仕様でなくてワタシが手がけた2台もベルトドライブのままです。
壊れた破片を見ても駆動方向で、エンブレによるものではないと見ています。
集めた情報の中には、何のショックも感じず気が付いたら4速がナクナッタというのもあります。
大きな事故が起きる前に、是非本格的に調査してもらいたいものです。
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>>ピストンさん (だみあん)
2006-12-14 07:28:38
>>ピストンさん
まさに2001年式、ベルトドライブのままの1200S。

気をつけて乗ることにします。
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だみあんさん、 (ピストン)
2006-12-15 00:26:11
だみあんさん、
オイルを抜いたときはよくチェックして下さい。
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お疲れ様です。 (U.S)
2006-12-15 13:51:09
お疲れ様です。
前身ビューエルでは聞かない症状ですよね・・・?何か条件が大幅に違うのでしょうか。
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どうもです。 (ピストン)
2006-12-15 20:15:37
どうもです。
ビューエルはあまり乗ったことがないのですが、車重はけっこう違いますね。
1200sは高速道以外では、4速が使用頻度が一番高いのではないでしょうか?
アメリカの道路と仕様状況が違うと思われます。そちらでは同様のトラブルはどうですか?
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こちらでは1200S自体を稀にしか見かけていない... (U.S)
2006-12-16 13:35:00
こちらでは1200S自体を稀にしか見かけていない状況でして、今の所同症状の車両は見かけていません。
アメリカは日本ほどスポーツスター熱は高いものではないような気がします。 
走行条件は先生の察しの通りで、5速以外は走り始めの加速で使って後は5速で巡航という走行パターンが一番多いと思われます。 一部の都心では日本の道路状況に近いものがありますが、それでもやはり日本での使用条件はアメリカに比べ、結構特殊なものになるかと。
今まで日本でしか発生しない日本特有の気候や使用条件に起因する故障がありましたが、今回もそれに属するものなのかもしれませんね。 
それにしても、ミッションが高速走行でロックしたらと思うとぞっとします。  
メーカー側はどの位認識と状況把握があるのかが気になりますね。
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