三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「「西欧文明を守るため」のガザ地区侵攻から済州4・3事件を見る」

2023年12月19日 | 国家・社会
「The Hankyoreh」 2023-12-19 09:24
■[寄稿]「西欧文明を守るため」のガザ地区侵攻から済州4・3事件を見る
 ジョン・エパージェシ | 慶煕大学英語英文学科教授

【写真】済州4・3事件当時、虐殺された被害者とその赤ちゃんの姿に関する住民の証言をもとに描いたカン・ヨベ画伯の「乳飲み子」=カン・ヨベ画伯提供//ハンギョレ新聞社

 20世紀アジアの歴史で、最悪の民間人虐殺は済州島(チェジュド)で起きた。米国の歴史学者ブルース・カミングスは次のように述べた。「忘れられないほど美しいこの島で、戦後の世界は、民族自決権と社会正義のために戦う住民たちに対し米国がいかに躊躇なく暴力を振るうことができるのかを最初に目撃した」
 現在、アジアの反対側で起きている人道危機は済州4・3事件と比較できる。なぜなら、パレスチナ人も1967年からイスラエルの軍事占領に対抗して民族自決権と正義のために戦ってきたからだ。私たちは現在、ガザ地区に向けて浴びせられる無慈悲で遠慮のない暴力から、済州の過去を垣間見ることができる。
 第二次世界大戦で敗北した日本が、35年間の朝鮮半島占領を清算した1945年、米軍の韓国占領が始まった。米軍に対する不満と怒りの感情は次第に高まり、それから3年後に済州島で爆発した。ジョン・メリル元米国務省北東アジア室長は「戦後、米国の占領にこれほど大きな規模で激しく抗議したのは、アジアと欧州を合わせて済州が唯一無二だ」と指摘した。
 済州島民が経験したことと類似したやり方で、この56年間にわたりパレスチナ人は占領されたガザ地区で、日常的に殴打や拷問、死刑、尋問、通行禁止、強制追放、財産破壊、経済的制裁、封鎖、無差別の爆撃など、様々な形の国家暴力と恐怖にさらされ、服従を強いられた。イスラエル軍がガザ地区とヨルダン川西岸地区を占領して20年目の1987年、「インティファーダ」(intifada)と呼ばれるパレスチナの反イスラエル抵抗運動が初めて起きた。主に女性たちが主導し、マハトマ・ガンジー、マーティン・ルーサー・キング、米国政治学者ジーン・シャープから部分的にインスピレーションを得たインティファーダは、ほとんどが非暴力抗争だった。
 今年10月7日に起きたハマスの攻撃で、ガザ地区に居住するすべての人が処罰を受けているように、1948年4月3日の抗争以後、済州島に居住するすべての市民は容赦なく国家暴力にさらされた。新たに樹立された大韓民国政府と米軍は、ハーグ条約(1899年)とジュネーブ条約(1949年)で戦争犯罪と規定され禁止となった連座制を島全体に適用した。1948~1954年に約2万5千~3万人の済州島民が虐殺されたが、これは済州島全体人口の10分の1に当たる。済州島に住むほぼすべての家族が国家暴力の影響を受けた。
 この2カ月間、1万8千人余りに及ぶパレスチナ人が死亡し、ほぼ5万人が負傷し、7780人が行方不明になった。ガザ地区に住むすべての家族が国家暴力の影響を受けたのだ。済州の場合、犠牲者の3分の1が老人、女性、児童だった。ガザ地区で殺された人の70%が女性、児童、18歳未満の青少年だ。少なくとも7729人の子どもたちが殺害された。
 焦土化作戦により、済州島の山間村95%が破壊され、8万~9万人に及ぶ村の住民は強制的に海岸沿いに位置した捕虜収容所に送られた。イスラエルの爆撃で建物約90万棟が破壊され、約80~90%のガザ地区市民が国内難民となった。国連世界食糧計画(WFP)の発表によると、居住地から強制的に追い出されたパレスチナ人は、人口が過密な保護所や臨時テント、屋外地域に閉じ込められており、十分な食べ物やきれいな水、きちんと作動する下水処理システム、衛生施設なしの生活に耐えている。結局、爆弾やミサイルで命を失った人より下痢や黄疸、はしか、髄膜炎、水痘、ウイルス性肝炎などの病気で死亡する人が多いかもしれない。
 イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は「私はガザ地区に対する全面封鎖を指示した。電気も食料も燃料も供給されず、すべてが閉鎖される。私たちは人間の皮をかぶった獣と戦っており、それに従って行動している」と述べた。エルサレムのアリエ・キング副市長は「彼らは人間でもなく、ひいては動物でもない。人間以下の存在なので、それにふさわしく接しなければならない」と語った。西側のパレスチナ人から東側の韓国人まで、アジアの人々はしばしば非人間的な固定観念や誹謗にさらされる。フィリピンや日本、韓国、ベトナム、イラクで起きた虐殺から、新型コロナウイルス感染症のパンデミックまでの間、アジア系米国人らに対する攻撃などは、「#アジアヘイトを止めろ」(#StopAsianHate)運動を誕生させた。
 イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は、ガザ地区の破壊と市民虐殺を世界規模で進んでいる文明の衝突とみなし、「今回の戦争は単にイスラエルとハマス間の戦争ではない。本気で言うが、今回の戦争は西欧文明を守るための戦争だ」と発言している。米国から数十億ドルにのぼる軍事的支援を受けたイスラエルは、人種差別、アパルトヘイト(人種分離差別政策)、定着型植民主義、民族浄化、集団虐殺を躊躇なく行っており、世界市民は目の前で生中継される暴力に唖然としている。国連安全保障理事会で「ガザ地区での即時停戦」を要求した時、米国は唯一拒否権を行使した。「米国例外主義(American exceptionalism)」という有害な考え方が21世紀に横行しているのだ。
 ハマスの恐ろしい攻撃によって1200人のイスラエル人が命を失っており、我々は彼らの犠牲をパレスチナ人とともに記憶に留めなければならない。世界で起きている大規模反戦デモでも分かるように、人々はこの暴力が止まることを求めている。米国ではユダヤ人たちが反戦デモを主導している。
 韓国は1953年に停戦協定を締結し、戦争による無意味な犠牲を防ぐことができたが、公式的に平和条約を締結したことはない。正式には戦争が終わっておらず、軍事費に天文学的な金額がかかり、離散家族が生まれ、権威主義的な政府が誕生し、旅行制限措置や各種制裁、飢饉、軍服務の義務などで朝鮮半島の人々は苦しめられてきた。朝鮮半島だけでなくアジア太平洋地域の人々は、絶えず全面戦争の脅威にさらされながら生きている。
 イスラエルが現在ガザ地区で行っていることを、北朝鮮と中国にも適用することを望んでいる強硬派が米国にはかなり存在する。新冷戦が過熱した場合、朝鮮半島は南北を問わず廃墟になるかもしれない。空の上に飛ぶ米国の爆撃機には「西洋文明を守っている」というスローガンが刻まれているだろう。

(翻訳イ・ダムバク)
ジョン・エパージェシ | 慶煕大学英語英文学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-12-19 02:40
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