https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200513002400882?section=news
「聯合ニュース」 2020.05.13 14:16
■3日の銃撃事件 北朝鮮軍監視所への照準射撃で対応=韓国軍
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮軍が今月3日朝、南北軍事境界線に近い韓国北東部・江原道の非武装地帯(DMZ)にある韓国軍の監視所を銃撃した事件で、韓国軍合同参謀本部は13日、軍が当時、北朝鮮軍の同一監視所の2カ所に照準射撃を行っていたことを明らかにした。
【写真】韓国軍合同参謀本部=(聯合ニュースTV)
【資料写真】非武装地帯の監視所=(聯合ニュース)
K6機関銃の遠隔射撃システムでの対応射撃を試みたが、故障していたため手動に切り替え、K3機関銃、K6機関銃で計30発の照準射撃を行ったという。最初の照準射撃は、監視所が銃撃を受け、弾痕を発見してから22分後だった。合同参謀本部は「北の軍が韓国の監視所を撃ったため、われわれも照準射撃で対応した」と説明している。
軍は、銃撃事件は北朝鮮軍による偶発的なものだったとする立場に変化はないと強調している。合同参謀本部の関係者は「軍が2度も対応射撃を行ったが北の反応はなく、北の軍は日常的な営農活動をしていた。特に、北の監視所勤務者たちは当時、鉄帽をかぶっていなかった」と説明した。
国防部はただ、今回の銃撃が、敵対行為の全面中止を定めた2018年9月の南北首脳会談での軍事合意に反すると指摘。3日に北朝鮮側に抗議し、謝罪と再発防止を求めたが、北朝鮮は反応を示していない。
https://japanese.joins.com/JArticle/265901?servcode=100§code=120
「中央日報日本語版」 2020.05.13 16:16
■【コラム】韓国政府、引き金を引いた北朝鮮に沈黙…虚々実々戦術なのか
3日、北朝鮮軍が江原道鉄原(カンウォンド・チョルウォン)の非武装地帯(DMZ)で韓国の監視哨所(GP)に向けて14.5ミリ機関銃で射撃した。これに対し韓国国防部は北朝鮮軍のGP銃撃を一切の敵対行為を全面中止することにした9・19南北軍事合意を違反したと指摘し、北朝鮮に公式釈明を要求した。しかし5日後の8日、北朝鮮は人民武力省報道官の談話で、(韓国側)空軍と海軍が6日に西海(ソヘ、黄海)で実施した合同防御訓練を「軍事対決の極限状態」と非難した。そして「すべてが2018年の南北首脳会談以前の原点に戻っている」とし「南北軍事合意に対する全面的な逆行であり露骨な背信行為」と主張した。
北朝鮮が非難した西海合同防御訓練は2015年から毎年実施している訓練だ。敵が西海で艦艇を攻撃する場合、海・空軍が共に反撃するシナリオで進める。しかし北朝鮮の談話には3日の銃撃に関する内容は一文字もなかった。北朝鮮はむしろ因縁をつけて韓国を非難したのだ。
北朝鮮の厚かましさは国防部の原罪と同じだ。国防部の内外では国防部のローキー(low-key)基調のためという指摘が多い。ローキーはもともと写真・放送で意図的に写真を暗くしたり、暗い画面の雰囲気を演出する技法だ。国防部が北朝鮮に対してローキーを維持するというのは、北朝鮮を刺激する発表を控えることを意味する。2018年の3回の南北首脳会談による南北和解ムードの火が軍事的衝突で消えてしまわないよう気をつけるというのが国防部の意図だ。ところが国防部のローキーは度が過ぎるうえ、北朝鮮に対する低姿勢として映るケースが多かった。
銃撃事件の当日、軍当局のバックグラウンド(非公開)ブリーフィングが代表的な例だ。当時のブリーフィングを担当した軍関係者は銃撃事件の概要を説明した後、「現場指揮官の判断」という前提で▼霧がかかって視界が良くなかった▼北朝鮮軍の勤務交代時間だった▼銃撃前後に北朝鮮軍の特異動向はなかったーーなどの事実を羅列した。
「銃撃が、挑発か、誤射か」という質問が出る前から、軍関係者が親切にも意図的な銃撃ではないと先に知らせたのだ。その後、国防部と軍当局は一様に「銃撃に意図性はない」という立場を表した。また対応射撃の過程を詳細に説明してほしいという記者の要求に対しては「関連調査が終ってから公開する」と答えた。調査が終わっていないにもかかわらず偶発的な銃撃という結論を出したということだ。これを見ると、国防部と軍当局のローキーが果たして何のためのものかが気になる。政府の南北交渉を支援するレベルではなく、北朝鮮の反応を気にしているという考えを抱かせる。
昨年の「発射体」をめぐる論争は国防部のローキーの弊害を見せている。北朝鮮は昨年13回も弾道ミサイルを発射した。軍当局は当初これを「発射体」と表現していたが、後に「ミサイル」と評価した。弾道ミサイルなら2018年の南北、米朝会談の成果が崩れたと見なすことができ、射程距離に関係なく国連安全保障理事会決議違反だった。これを意識した軍当局は弾道ミサイルと認めるのが難しかったのだ。後に軍当局は13回すべて弾道ミサイルという資料をさりげなく国会に提出した。韓国の最大の脅威である北朝鮮の弾道ミサイルをまともに分析することができなくなるところだった。
高高度無人偵察機グローバルホークを導入する過程でもローキーの雑音が聞こえた。20キロの高度から地上30センチの大きさの物体を区別できるグローバルホークは、北朝鮮だけでなく周辺国を相手にするうえで必要だ。国防部と軍当局はグローバルホークが韓国に到着した事実を隠した。関連記事が出ると、大々的な保安調査を始めて口封じをした。8800億ウォン(約800億円)以上の導入予算を出した国民の知る権利は無視された。
軍内部からも北朝鮮の反応を気にしてグローバルホークを隠しているという声が出てきた。このような過敏対応はグローバルホークが結局、北朝鮮を狙う武器であることを国防部が立証しているのと変わらない。徹底的なセキュリティーの中でも空軍基地の周辺で夜を明かした写真記者が滑走路に着陸したグローバルホークを撮影した。ハリー・ハリス駐韓米大使はツイッターに格納庫に保管中のグローバルホークの写真を載せて国防部を困惑させた。
国防部が自らこのように行動するため、北朝鮮がむしろ当惑するという解釈が出ている。北朝鮮が挑発すれば韓国が反発してこそ挑発の効果がある。しかし韓国が何もなかったかのように行動するため、北朝鮮の立場では挑発の意味が薄れる。国防部と軍当局が突然、北朝鮮の挑発を抑止しようと虚虚実実戦術を駆使したわけではないはずだ。「沈黙は金なり」という格言がある。しかし決然とした行動がない沈黙は弱さに対する苦しい弁解にすぎない。
イ・チョルジェ/軍事安保研究所長
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/36523.html
「The Hankyoreh」 登録:2020-05-05 20:42 修正:2020-05-06 07:10
■[ニュース分析]北のGP銃撃、韓・米いずれも「挑発ではなく誤射」と見る理由は
北によるGP銃撃…挑発か、“誤射”か?
保守野党の挑発論の根拠は
潜伏終えた金正恩報道の翌日というのが理由
確認されていない「チャン・ソンテク処刑の武器」主張
韓国軍「挑発ではなく誤射」判断の根拠は
有効射程距離外…対応射撃に“無反応”
「国連軍司令部、韓国の過剰対応を問題にするかも」
北側はなぜ釈明しないのか
北側は抗議の電話通知文にも無返答
政治・外交的理由ない場合の無応答は珍しくない
【写真】最前方の非武装地帯(DMZ)監視警戒所(GP)に、青い国連旗と太極旗が掲揚されている。国連旗は、GPが国連軍司令部の施設であり所轄区域であることを意味する=韓国陸軍本部のホームページより//ハンギョレ新聞社
3日、南側のGP(監視警戒所)に北朝鮮軍の弾丸4発が飛来し、GPの外壁に当たったことをめぐり、保守野党とマスコミなどを中心に「北朝鮮が挑発しておきながら謝罪しない」という批判が多い。だが韓国軍当局は、銃撃の直後から現在まで一貫した態度を見せている。意図的“挑発”ではなく“誤射”と判断されるということだ。
一部では、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の20日ぶりの公開活動が労働新聞に報道された翌日に銃撃があり、銃撃に使われた「14.5ミリ高射銃」が「チャン・ソンテク処刑時に使われた武器」だとして“挑発”だと主張している。もちろん14.5ミリ高射銃が金委員長の叔母の夫であるチャン・ソンテク元国防委員会副委員長の処刑に使われたとの主張は、事実確認されていない一方的主張だ。
3日午前7時41分、GP現場にて服務していた韓国軍が銃声を聞き、直ちにGP周辺を調べた。外壁に4発の弾痕を確認した。その後、韓国軍は10数発ずつ二度にわけて1・2次の警告射撃を行い、警告放送を流した。警告射撃は虚空や目標物とやや離れた地面に行うのが一般的だが、軍は一部対応射撃をしながら、北側が南側のGPの外壁に銃を撃ったように、北側のGPに向けても銃を撃ったという。
合同参謀本部は今回の事件を“挑発”とも“誤射”とも公式に規定していない。ただし内部的に“誤射”と判断しているのは、種々の状況が根拠に挙げられている。まず、銃撃がなされたと推定される北側のGP数カ所と弾痕が発見された南側GP間の距離(1.5~1.9キロメートル)が、14.5ミリ高射銃の有効射程距離(1.4キロメートル)から外れているという事実だ。韓国軍当局者は、射撃する際に目標物の距離が遠いほど正確度が落ちるのに、あえて有効射程距離より遠いGPを挑発目標にする理由があるだろうかと指摘した。
北側のGPが南側のGPより高度が低い点、北朝鮮が当初挑発を意図したとすれば南側の警告射撃に対応射撃をしたはずなのに一切反応がなかったという点も“誤射”判断の有力な根拠に挙げられる。韓国政府関係者は「北朝鮮が計画的にそうしたとすれば、わが方の射撃に対応するなりの反応があるはずなのに全くなかった」と話した。
さらに、当時現場には霧が深く視界が1キロメートル程度しかなく▽北側のGPの人員が勤務交代後に火器装備を点検する時間帯と重なっている点▽状況発生の前後に北側の営農地域では日常的な営農活動がなされていた点なども、軍当局が誤射の可能性が高いと見る情況だ。
マイク・ポンペオ米国務長官も3日(現地時間)、北朝鮮軍の銃撃について「偶発的なこと」と述べた。韓・米軍当局の判断に違いはない。
【図】北朝鮮軍 中部戦線非武装地帯銃撃事件の概要//ハンギョレ新聞社
国連軍司令部は4日からこの事件に関連して現場調査をしている。調査結果はまだ出ていないが、韓国軍の内外には、国連軍司令部がむしろ韓国軍の対応を問題にすることがありうるという意見もある。韓国軍は自軍の交戦規則に則り対応射撃をする際には“比例の原則”に従うことになっているが、韓国軍が発射した警告射撃が30発に近く、北朝鮮が発射した4発より5~7倍多い。韓国軍関係者は5日「結果はまだ出ていないが、国連軍司令部が韓国軍が過度に措置したとの結論を出す可能性も排除できない」と話した。
今回の事態が意図せざる“誤射”から始まったのであれば、北朝鮮側がなぜこれを釈明しないのかとの問題提起もある。韓国軍は、南北将軍級会談南側首席代表名義の電話通知文を3日に送り、北側の説明を要求したがまだ反応がない。
今まで南側軍当局の抗議の電話通知文に対し、北側が即刻応答した前例はほとんどない。北側が公開的に誤りを認めたり釈明した事例も十指に挙げられる程度だ。それさえも2015年8月の非武装地帯における木箱地雷爆発事件の直後の南北高位級会談で「遺憾を表明」した事例のように、南北関係や政治・外交的な理由で説明や謝罪が避けられない場合が大部分だった。ハノイでの2回目の朝米首脳会談決裂以後、南北当局間の関係が長期膠着を抜け出せずにいる状況も、北側が積極的に釈明せずにいる背景の一つに挙げられる。
ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/943711.html
韓国語原文入力:2020-05-05 18:44
https://japanese.joins.com/JArticle/265580?servcode=200§code=220
「中央日報日本語版」 2020.05.04 20:05
■北朝鮮、張成沢処刑時に使った14.5ミリ高射銃で韓国軍監視哨所銃撃
【写真】非武装地帯(DMZ)内の北朝鮮軍監視哨所(GP)[写真 国防部]
国連軍司令部が3日に起きた北朝鮮軍による江原道鉄原(カンウォンド・チョルウォン)の非武装地帯(DMZ)内の監視哨所(GP)銃撃事件について休戦協定違反がなかったか調査した。
国連軍司令部関係者は4日、「国連軍司令部軍事休戦委員会調査チームが銃撃を受けたGP外壁で弾痕と弾頭を調査した」と話した。国連軍司令部は北朝鮮軍が14.5ミリ高射銃を撃った可能性が大きいとみている。国防部と合同参謀本部関係者もこの日安圭佰(アン・ギュベク)国会国防委員長に北朝鮮軍が高射銃を発射したという内容を報告した。
航空機やヘリコプターを撃墜する用途の高射銃は4本の銃身をひとつにまとめ4発が一度に発射される。今回のGP外壁からも4発の弾痕と弾頭が見つかった。高射銃は北朝鮮が2013年12月に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のおじに当たる張成沢(チャン・ソンテク)元労働党行政部長と2015年4月に玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)元人民武力部長を処刑した時に使った。
北朝鮮は銃撃事件に対し2日間にわたり沈黙している。韓国国防部のチェ・ヒョンス報道官は定例会見で「北朝鮮に電話通知文を通じ強い抗議の意を伝え立場を表明するよう求め、このような行為をすぐに中断すべきとも促した」としながら「まだ回答はない」と話した。チェ報道官は北朝鮮が回答しない場合には「状況を見守って判断し措置する予定」と付け加えた。
だが北朝鮮から回答を引き出す方法がないというのが国防部の悩みだ。昨年11月23日に北朝鮮軍が西海(黄海)の昌麟島(チャンリンド)で海岸砲を撃ち9・19南北軍事合意に違反したことに対し当時国防部が強く抗議したが、北朝鮮は反応しなかった。
韓国政府消息筋は「北朝鮮が銃撃事件に対し何かを言うだろうと信じる当局者は1人もいない」と打ち明けた。韓国国家戦略研究院のムン・ソンムク統一戦略センター長は「北朝鮮は民族共助に出ない限り韓国と一切対話しないだろう」と分析した。
国防部は今回の事件を依然として偶発的銃撃と判断している。軍消息筋は「銃撃当時北朝鮮軍GP勤務交代時間で、濃い霧が立ち込めており、GP近くの畑では日常的な営農活動が目撃されていた。具体的に明らかにすることはできないが、各種技術情報も意図的挑発でないという根拠になっている」と説明した。
しかし一部では北朝鮮がとぼけたり韓国に責任を転嫁する代わりに口を閉ざしており、「挑発」ではなく「誤射」という国防部の説明が苦しくなったとの指摘も出る。北朝鮮の沈黙がむしろ意図性を見せる状況という点からだ。
韓国軍GPに正確に着弾した点もやはり挑発の根拠のひとつだ。非武装地帯の火器は正照準した状態で据え置かれており、点検過程で誤射したのであれば照準が揺れたはずだが韓国軍GPに正確に着弾したという点からだ。
韓南(ハンナム)大学国防戦略大学院のヤン・ウク兼任教授は「非武装地帯での射撃は軍事合意違反であると同時に深刻な政治的行為になりかねないため上部の指示や了解がなくては行われにくい。北朝鮮が事態拡大につながらない範囲内で統制された挑発をしたとみるべき」と指摘した。
3日に南北間で銃撃が起きた場所が、南北が韓国戦争(朝鮮戦争)の戦死者の遺骨を共同で発掘することで合意するなど一種の「平和」の象徴であるファサルモリ高地がある江原道鉄原という点も政治的計算が背景にあるという根拠に挙げられる。北朝鮮が最近の冷え込んだ南北関係と、韓米空軍と海兵隊がそれぞれ実施した合同演習に対する不満を示した可能性もあるという。
一方、北朝鮮の対外宣伝メディアである「メアリ」はこの日、「南朝鮮(韓国)が北侵戦争準備に向けた武力増強と軍事的対決策動に狂奔している」と非難したが、銃撃事件に対する言及はなかった。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/05/05/2020050580008.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/05/05/2020050580008_2.html
「朝鮮日報日本語版」 2020/05/05 09:20
■14.5ミリ高射銃で1.5キロ以上離れた韓国哨所に4発命中させたのに「誤射」?
北朝鮮軍が今月3日、非武装地帯(DMZ)内にある韓国軍の最前方監視哨所(GP)へ銃撃を加えた際に使用した火器は、14.5ミリ機関銃(高射銃)であることが分かった。韓国軍の消息筋は4日、「韓国のGPで発見された北の銃弾(弾頭)は14.5ミリらしい」として、「北朝鮮軍は、過去のDMZ挑発のときも14.5ミリ機関銃を何度か使った」と語った。韓国国防部(省に相当)および韓国軍の合同参謀本部(合参)の関係者も4日、国会国防委員会の安圭佰(アン・ギュベク)委員長に対する報告で「(引き金を)一度引いたら3-4発連射される種類の機関銃を使用した」と確認した。この機関銃は、2013年12月に金正恩(キム・ジョンウン)の義理の叔父に当たる張成沢(チャン・ソンテク)労働党行政部長、15年4月に玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相を残忍に処刑する際にも使用されたという。
韓国軍当局は「偶発的な銃撃の可能性が高い」と語っている。だが専門家らは、1.5キロ以上離れた韓国のGPに14.5ミリ機関銃を数発、正確に命中させたことに注目している。偶発的に撃って当てるのは難しい重火器だという点からみて、意図的な挑発の可能性が高いというのだ。
14.5ミリ機関銃は、北朝鮮軍の代表的な対空火器として活用されてきた武器だ。4丁の機関銃を束ね、4連装高射銃(ZPU4)としても使われる。最大射程は8キロ、有効射程は1.4キロ(対空用は2キロ)、発射速度は1分あたり550発から600発だ。北朝鮮軍の戦車、装甲車などにも広範囲に搭載されている。また北朝鮮軍は、銃身が2本ある対空火器(ZPU2)も最前方地域などで多数運用している。2014年10月に韓国の民間団体が北朝鮮向けのビラを積んだ風船を飛ばした際、これを阻止するために射撃したのもZPU2だった。北朝鮮軍がおよそ150カ所のGPに1丁ずつ配置した14.5ミリ機関銃(KPV)は、銃身が1本のものだという。だが、本来は航空機・ヘリの撃墜用なので高い火力を備え、破壊力は韓国軍の主力重機関銃であるK6(12.7ミリ)の2倍に達すると評されている。
国連軍司令部軍事停戦委員会は4日、今回の事件の真相把握のため、現場に特別調査チームを派遣したといわれている。だが公式な見解は表明しなかった。ポンペオ国務長官は、今回の事件について「偶発的だと思う」とコメントした。したがって国連軍司令部も、偶発的な挑発と判断する可能性がないわけではない。韓国軍関係者は4日も「銃撃の当時、北朝鮮軍GPは勤務交代の時間で、濃い霧がかかっており、GP近くの畑で日常的な営農活動が目撃された」として、偶発的な挑発という部分に重きを置いた。北朝鮮軍GPには韓国のGPに向けて固定した機関銃があり、銃器を点検する過程で偶発的に発射されたこともあり得る、というのだ。
だが、専門家らは疑問を投げかけている。まず14.5ミリ機関銃は、ミスによって1.5キロ以上離れた韓国のGPに、正確な弾着群を形成して4発も当てるのは難しいという。銃器の専門家であるヤン・ウク韓南大学国防戦略大学院兼任教授は「14.5ミリ機関銃は反動が非常に大きいので、両手でしっかりつかんで撃たないと目標に命中させるのは難しい武器」と語った。ミスによる誤射だったとすると、正確な弾着群を形成するのは困難、というわけだ。また北朝鮮軍は平素、機関銃に弾帯を付けた状態にはしておかないといわれている。
北朝鮮当局や北朝鮮軍が二日も沈黙を守っていることも謎だ。これまでのDMZ銃撃事件の場合、放送を通して「偶発」であることを主張したり、韓国側に責任を転嫁したりする態度を取るケースが少なくなかった。身辺異常説に巻き込まれていた金正恩国務委員長が20日ぶりに登場したと北朝鮮メディアで報じられてからわずか一日で、およそ5年ぶりのDMZ内銃撃挑発があったという点も、見方によっては釈然としない部分だ。
なお国防部は4日の定例のブリーフィングで、遅まきながら「北朝鮮に電通文で強く抗議の意思を伝えると共に、立場を明らかにしてほしいとして、こうした行為について直ちに中止すべきだとも求めた」と発表した。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
http://www.donga.com/jp/home/article/all/20200504/2054078/1/金正恩氏が姿を現わした翌日に-北朝鮮が韓国側哨所を銃撃
「東亞日報」 May. 04, 2020 07:52
■金正恩氏が姿を現わした翌日に…北朝鮮が韓国側哨所を銃撃
健康不安説が流れていた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、姿を現わさなくなって20日ぶりに公開活動を再開した。正恩氏の動静が確認された翌日の3日、北朝鮮軍は非武装地帯(DMZ)で韓国軍の最前線監視所(GP)に銃弾を発射する奇襲行動を強行した。正恩氏の身辺異常説の混乱局面でDMZ奇襲挑発に出ることで、韓半島情勢を再び揺さぶろうという狙いがあるのではないかとみられている。
労働新聞などによると、正恩氏は1日、平安南道順天(ピョンアンナムド・スンチョン)の肥料工場の竣工式に出席した。先月11日の政治局会議の後、15日の故金日成(キム・イルソン)主席の誕生日の参拝にも姿を見せなかったが、20日ぶりに公の場に現れたのだ。北朝鮮は、正恩氏が一人で歩く姿や、たばこを吸っている様子を公開した。移動式カートに乗ったり、足の動きがぎこちなくみえたが、重体説とは程遠い比較的正常な様子だった。介助されたり杖をつくこともなかった。正恩氏は、「肥料工場の完工は、党中央委員会第7期第5回全員会議後に果たした初の成果であり、化学工業を一段階跳躍させる重要な契機だ」と強調した。昨年のマラソン全員会議で強調した「正面突破戦」の成果を確認するために現場を訪れたと強調したのだ。
正恩氏は自身の動静を追跡していた韓米の情報装備の対応を分析すると共に、総選挙を終えたソウルと11月に大統領選を控えたワシントンの反応を見て姿を現わすタイミングを決めたと、外交関係者はみている。トランプ米大統領は2日(現地時間)、正恩氏が姿を現わしたことを受けて、「彼が戻ってきて、元気そうで、私としてはうれしい」とツイートした。
しかし、正恩氏の動静が公開された翌日、北朝鮮軍はDMZ内の韓国の監視所に銃弾を発射し、軍が警告射撃を行った。2018年の9・19南北軍事合意が締結された後、北朝鮮がDMZで韓国軍に銃弾を発射したのは初めて。
軍によると、3日午前7時41分頃、江原道鉄原(カンウォンド・チョルウォン)地域の中部戦線のDMZで、数発の銃声がなり、韓国の監視所が被弾した。軍はGPの外壁の弾痕を確認し、北朝鮮軍のGPから機関銃を発砲したと判断し、K6機関銃などで2度、警告射撃(約10発)をした後、警告放送を実施した。北朝鮮軍の追加の動きはなく、軍は発砲の背景を分析している。
黃仁贊 hic@donga.com