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2010年08月19日の山梨日日新聞Web記事で「乗り合いタクシー運行 相川のデマンド実証実験 1回200円、市内3ヵ所と結ぶ 」がありました。私は「2010.06.16 甲府市相川地区でデマンド交通の実証実験」を書いていましたので興味深く読みました。
運営のポイントは以下のように書かれていました。

『運行時間は、午前7時~正午、午後2~7時の計10時間。31カ所の乗降所と、JR甲府駅北口、国立甲府病院、朝日通り商店街の3カ所を結ぶ。ジャンボタクシーと中型タクシー各1台を導入し、乗車の1週間前から30分前までに、電話かインターネットで予約すれば利用できる。料金は1回200円(小学生未満は無料)。運行と予約などのオペレーター業務は民間タクシー会社に委託する。』

『デマンド交通システムの概要は18日、市役所相生仮本庁舎で開かれた地域公共交通会議で示された。同会議は今後、検証結果を踏まえ、市内全域の公共交通体系を検討する。』と記事は結ばれていました。確認すると、甲府市地域公共交通会議 は以下の通りです・・・

設置年月日 :  平成22年7月6日
設置の根拠法令等 : 甲府市地域公共交通会議設置要綱
設置の目的 : 市民の生活に必要な公共交通機関の維持及び利用者の利便の増進を図り、地域の実情に即した輸送サービスの実現に必要となる事項を協議するために設置する。
所管部課 : 企画部 政策課 連絡先055-237-5289  内線88-222
委員 : 20名(男性20名、女性0名)

設置日付からみると、この会議はデマンド交通が6月定例市議会で質疑応答されたことで始まったものでしょう。デマンド交通のアイディア自体はこの会議の中から生れたものでは無く既に政策課で作成されていたものであることは6月報道記事を読んでいる人には分かります。
会議メンバーに女性ゼロというのが ? ですが、『実証実験を行うのは、武田通り東側で、周辺道路が狭いことなどから路線バスの運行が難しく、交通手段を持たない高齢者が増えている地域という。実証実験を通じて、利用状況や採算性とともに、公共交通機関の利用による温室効果ガス削減効果も検証する。』 というのも ? です。
揚げ足を取るわけじゃありませんが、マイカーをやめて交通手段を持たない高齢者が増えている地域なら排気ガスも少なくなりつつある、その前提で更に温室効果ガス削減をどのように進めるかが課題でしょうか。

事業計画をお立てになる上で採算性の算定基準は既にお決めになったでしょう。200円均一料金になった根拠は後日説明されると思います。地域公共交通会議には山梨交通やタクシー協会の方も参加されていると思いますのでご存じとは思いますが、国土交通省では運輸省時代からタクシー問題との取り組みは未解決のまま続いています・・・事業(企業)の採算が乗務員さんの犠牲の上で成り立つのではいけないという考え方も問題の根底にあります。

国土交通省では2009年3月から「タクシー事業における賃金システム等に関する懇談会」というのが設置されて、膨大な資料も掲載されています。
この第1回懇談会の「資料4」はPDFファイルですが、「タクシー事業の現状について」書かれていて 「全国のタクシーにおける日車営収等の推移」 などが分かります。全国平均で3万円/日(県都甲府市ではもう少し多いかも知れません)、ここから乗務員の給料その他諸経費が賄われます。これで採算が取れているのかどうかはタクシー協会の方からのご説明があったと思います。 運輸省時代に「企業=性善、乗務員=性悪」説のもとで規制改革と称して間違ったシステムを作ってしまった影響については資料からも分かります。
運賃200円のデマンド交通にタクシーを使うなら、少なくとも甲府地域での平均日収に相当する売上確保を予定せねばならず、国交省の資料にもあるようにタクシー業界一般で採用されている歩合給ではデマンド交通担当乗務員さんの生活が成り立たない可能性が考えられます。東京ですと個人利用のデマンド交通に近いお仕事形態は個人タクシーの方々がおやりになっている話を聞いたことがあります。

以前、コミュニティバスの実験があった時に掲載された実験計画のホームページを見た記憶があります。今回も公共交通会議からの正式な計画発表ページを待ちたいと思います。



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