樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

外来種の歴史

2016年04月14日 | 野鳥
鑑賞のために移入されたカナダガンが増殖したり、国内の近縁種と交雑するのを防ぐため、環境省が生体71羽と卵150個以上を駆除して根絶しました。外来種の評価や管理はなかなか難しいです。
こうした外来種に関する歴史を調べると、いろいろ面白いことが分かります。ある学者が記録に残る渡来動物のリストを発表しているので、その中から鳥をピックアップしてみました。
日本に初めて外来種が持ち込まれたのは598年4月。難波吉士磐金(なにわのきしのいわかね)という人物が新羅からカササギ2羽を持ち帰ったと『日本書紀』に記されているそうです。外来種問題は1400年以上前から始まっているわけです。
また、この年の8月には、同じく新羅からクジャクが1羽献上されています。さらに、翌年9月には、百済からラクダ1頭、ロバ1頭、ヒツジ2頭とともに白雉が献上されています。この白雉については、以前の記事で紹介しましたように、私はコウライキジではないかと推測しています。
2年間でカササギ、クジャク、コウライキジ(?)の3種が移入されたわけですから、外来種ラッシュですね。そして、647年にはオウムが、732年にはハッカチョウが移入されています。
その子孫ではないでしょうが、ハッカチョウは現在も生息域を拡大しながら野生化しているようで、私もある場所で遭遇しました。その際に撮影したのが下の動画。



渡来動物リストを見ると、その後もクジャクやオウムなどが次々に移入されています。ヒクイドリ、キュウカンチョウ、ダチョウといった種名も見られます。いずれも視覚的にインパクトの強い鳥。つまり、観賞用でしょう。
面白いのは、こうした外来動物を飼育する施設が当時すでに存在していたこと。例えば、745年4月16日付の正倉院文書には「孔雀一羽日料、米二合五勺」と記されており、天皇の庭園でクジャクが飼育されていたことを物語っています。
日本初の動物園は東京の上野ではなく、奈良にあったわけです。
コメント (2)
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