世の中のうまい話

魚のウンチク、旬、漁師だけが食べている浜料理の紹介などなど・・・食べ歩きは八王子中心!都心も地方もたま~に

吉備女子(キビナゴ)

2017年04月05日 20時50分11秒 | Weblog

キビナゴ(吉備女子)


         キビナゴの南蛮漬け



【語源】
鹿児島では「帯」のことを「キビ」と言います。
この魚の体側中央にある青白い模様を帯とみなして「帯(きび)の
小魚(なご)」と言う由来が有力です。

漢字では吉備女子(きびなご)と書きますが、語源とはまったく
重なるところがないですね~



    キビナゴのお茶漬け

【旬】
キビナゴの産卵期は初夏です。よって旬は産卵前の春と言えるで
しょう。




     キビナゴの刺身




【うんちく】
キビナゴはニシン目ニシン科キビナゴ属の魚です。
外洋を回遊していたキビナゴは、初夏に産卵のために海岸に押し
寄せます。
そして、直径1㍉程の卵を海藻や岩礁などに産みつけます。
やがて孵化した稚魚は動物性プランクトンを食べて成長します。
昼間は水面近くを、夜には中底層を大きな群れで遊泳し、5㌢位に
成長すると外洋へと旅立ちます。
1年で成熟し、翌年の春から夏に産卵のために再び海岸に戻って
くるというライフサイクルです。
寿命は1~2年と言われています。

銀白色の帯をキラキラ輝かせながら、海面すれすれを泳ぐキビナゴ
の大群は実に美しく、その姿は「波のしずく」とか「海の宝石」と
言われるほど。




 キビナゴのおろした物。この状態で流通してるのが多いです。



        キビナゴの一夜干し



【ブランド・産地】
関東及び山陰沖以南、中部太平洋やインド洋に広く分布します。
ブランド化はされていないようです。
有名な産地は鹿児島県。このキビナゴを使って作った薩摩揚げは
最高級品とされています。

一昔前までは、肥料やカツオの一本釣りの餌などに使用される下級魚
として扱われていましたが、最近ではその栄養価の高さと、物流の
発達などにより、人気の魚となりつつあります。


      キビナゴの刺身




      キビナゴの天ぷら


【産地ならではの漁師料理】
なんと言っても刺身でしょう~。山葵醤油、生姜醤油も美味いで
すが、お勧めは酢味噌。芋焼酎がすすみます。

小さい魚なので調理が面倒なイメージがありますが、この美味さを
味わう為には手間を惜しんではいけません。漁師流の簡単な捌き方を
紹介します。

まずは、ボウルなどに濃いめの塩水を作りキビナゴを入れて洗います。
これにより汚れとウロコがとれます。
ザルにあけて流水でもう一度洗い流し、、水気を切ってから、
全体に塩を振りかけてから冷蔵庫に20~30分置きます。
そして、更に水荒いし、塩を流し・・・後は手開き~
これが漁師流です。

       キビナゴのにぎり寿司

また、唐揚げや天ぷらも美味しいです。
種子島ではこのキビナゴを使ってすき焼きを作るとか・・・。
火を通しすぎないのがコツらしいですよ~。

そして、キビナゴを使った薩摩揚げは、マヨネーズをつけて、
こんがり焼きなおします。最高!
これは、漁師流ではなく、マグロ君流です。



     キビナゴの一夜干しを炙ったもの




     キビナゴけんぴ
【栄養と効果・健康】
きびなごは、魚の中でDHA含有率がもっとも高いと言われていま
す。その含有量はマグロ以上。
またEPAやカルシウムも豊富に含んでいます。
DHAやEPAの不飽和脂肪酸の効果で、三大成人病(ガン、脳卒
中、心臓病)を抑制する効果が期待できます。

是非、食べたい食材ですよね~




       キビナゴの昆布〆寿司




        キビナゴの唐揚げ









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プロが選んだ・・・・魚の【のれん街】











白魚(シラウオ)・素魚(シロウオ)

2017年04月05日 09時00分38秒 | Weblog

シラウオ(白魚)・シロウオ


        白魚の天ぷら




【語源】
シラウオの名前は見ての通り、生きている時は透明ですが、死んで
しまうと白くなることから付いたようです。

よく似た魚にシロウオ(素魚)があります。

こちらはスズキ目ハゼ科に属し、吸盤状腹ビレがあります。
(シロウオは腹ビレがないと言った方がわかりやすいかも?)
また、白魚より、やや小ぶりです。


全国的にシロウオをシラウオと呼ぶ事もかなりあるようです。
例えば、博多の室見川で生きたまま二杯酢で食べる「おどり食い」は
、シラウオと呼んでいますが、実際はシロウオなんですよ~。
ややこしいですね~!



      白魚のにぎり寿司



          白魚とウニの和えもの


【旬】
旬は文句なく春(初春)です。
「月は朧(おぼろ)に白魚の篝(かがり)もかすむ春の宵」・・・・
歌舞伎「三人吉三」の名セリフとして有名です。
この「白魚のかがり火」とは、隅田川(当時は大川)に小舟を浮かべ
、魚を集めるためにかがり火をたいたシラウオ漁の情景です。

江戸時代、シラウオ漁は隅田川下流の佃島辺りが産地でした。
大川・かがり火・シラウオ漁は、江戸に早い春を告げる風物詩だった
のです。

また、ひな祭りにシラウオのすまし汁・・・と言うのが江戸の風習で
ありました~!ひな祭りも春ですよね!






【うんちく】
シラウオは北海道から九州まで、ほぼ全国各地に分布しています。
内湾や河口の汽水域が住みかで早春に産卵期の為、川をのぼります。
メスは河床に産卵し、この卵に雄が精子をかけます。
産卵後親魚は疲れ果てて短い生涯を閉じ、受精した卵は1週間から
10日で孵化します。
稚魚は、動物プランクトンをエサにして成長し、やがて川を下って
河口付近や内湾で暮らすようになります。
そして、1年で成熟して翌春には次の代の親魚として川をのぼり
ます。



      白魚のかき揚げ
【家康と白魚】
シラウオは徳川家、江戸佃島と深い縁で結ばれています。

シラウオの頭部に見られる模様が徳川家の葵の紋に似ている為、徳川
家を象徴する魚として、家康に保護されたと言う説。

もう一説は、三河時代から家康の大好物だったシラウオを佃の漁師が
献上したところ、江戸でもシラウオが獲れることを知って大喜びし、
その後保護したという説があります。


     白魚のにこごり

いずれにしても家康はシラウオが好物で、権力を誇示する一つとして
シラウオを御止魚(おとめうお)、つまり「献上魚するもの以外は
獲っていけない」と命じたのです。



シラウオ漁を許されたのは佃と京橋の二人の漁師のみでした。
この漁師たちには様々な特権を与えられています。
両者の縄張りを決め、独占的な入漁権。舟の舳先(へさき)には
「御本丸」などと書いた提灯を掲げて、他の漁舟を蹴散らしたそうで
す。さらに、獲れたシラウオは葵の御紋の御膳白魚箱に納め、天下御
免と江戸城に駆け上がったのです。
この時、大名行列を横切ることさえ許されたといいます。
さらに、両者には屋敷が与えられ、当時干潟だった土地までいただき
、そこを埋め立ててできたのが佃島です。

佃煮は、このシラウオを始めとする小魚を佃で煮付けた物が始まりと
言われています。


【ブランド・産地】
ブランド化まではされてませんが、主な産地は青森県小川原湖(おが
わらこ)です。
シラウオにはワカサギの様に、海へ降下するものと、海に行かず越冬
するものとの2種いるようですが、ここ小川原湖では前者の方が多いと
言われています。
主産地のもう一つは、島根県の宍道湖です。
こちらは、海に出ない後者の方が多く、宍道湖七珍の貴重な一珍と
されています。


       素魚(シロウオ)の踊り食い



  踊り食い・・しかし、実はこれはシロウオです。

【産地ならではの漁師料理】
吸い物、卵とじ、酢の物、かき玉汁、刺身、フライなどの料理があり
ますが、なんと言っても、生きたものを二杯酢や、卵と醤油で、
食べる「おどり食い」は最高です。
少しかわいそうな気がしますが、あのコリコリした食感と天然の甘み
、そしてほのかな苦味のバランスが絶妙です。

しかし、踊り食いをうたっているものの、ほとんどは、シラウオでは
なく、シロウオだとか・・・・!

本物を賞味できるのは漁師さんの特権かもしれませんね~


      白魚の卵とじ


【栄養と効果・健康】
小さいですが栄養価の高い魚です。
頭、内臓もすべて食べる為、ビタミン・ミネラルを豊富に摂取でき
ます。
鉄分・リン・カルシウムが特に多く、お子さんや骨粗鬆症の方に
最適な食材です。

ビタミンでは視力低下を防ぐ、ビタミンAが多く、DHA、EPAも豊富。

注意が必要なのは、内臓も食す為、コレステロールが多いという事。
食べすぎ注意の食材ですね!










           白魚のかき揚げ

















           白魚のにぎり寿司





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