2024/06/04 記
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ハッカーさん、おはようございます。今回は「記憶の鍵」という高校生向けのお話シリーズです。
さて。
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⚫︎だから何なの10
〜体験記憶を開く鍵"ひらけゴマ"のこと〜
私たちも日々の出来事を、ひょんなことから思い出しています。
ジョージ・ワシントン幼少の頃の桜の木伐採の逸話を知っていますか。あれは作り話、当時アメリカに桜はなかったよとのことですが、私が小1のとき、私は木を切って、正直に言った事で父親に褒められたことが信じられなくて、校庭の桜を思い切り蹴飛ばしたり揺すってみて職員室に報告に行って、担任にひどく叱られたのですが、叱られている最中、やっぱりあの話は嘘だと実証した満足感と、担任の頬にせんべいのカケラがついていたことを今も記憶しています。母が呼び出されて、私はトドメをさされたのですが、怒られている最中、ワシントンは嘘つきだとバリアのように脳裏でくりかえしていました。
まあ、それはそうとして、いいおっさんになって、私は桜道という茅ヶ崎の海側に住んでいて知った出来事。
桜道というバス停に、有名な認知症の婆様がいつもベンチにすわっていました。徘徊という症状で、バスに乗って九州までいこうとするので、神奈中バスでは有名になっていて、バスは停留所の手前で停車するほどでした。婆様は割と私と仲がよかったという怪しい関係で、たまに話をしてました。ある春先、バス停後の桜は満開で、婆様の頬に揚げ煎餅のカケラがついていたのを見て、何十年前の「ワシントンは嘘つきだ」が桜の花びらと一緒にふってきたのです。次々に、私が蹴飛ばしてもびくともしない桜への腹立ちと私のアホさ加減、理由も聞かず叱った大人(担任)のしょうもなさなどが、つらつらとでてきて、婆様にワシントンは嘘つきだといいました。びっくりもせず、うんうんときいてくれました。その年、婆様はなくなったのですが、今も友だちです。桜も切り倒されました。
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なるほどと私自身が感心するのは、舞い降りる桜の花と頬の煎餅のかけらが、何十年も眠っていたサクラ蹴飛ばし大人はバカだの記憶を引き摺り出したという記憶のあり方です。そう、その雑然とした記憶が芋づる式にひきだされた事実。婆様記憶もその芋のひとつになっていますが、桜の花と頬の煎餅のことを「記憶の鍵」といいます。まるで「ひらけゴマ」です。
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例えば訪問紙芝居のとき、最後に皆で「ダンゴムシ!」をやれば、被災中、防衛「ダンゴムシ」をやったとき、わけわかんないねえちゃんやにいちゃんが、受けない紙芝居やっていたなと思い出すかもしれない。
だから紙芝居には、「おはしも」とか「ダンゴムシ」が仕掛けられているのです。
記憶の鍵、うまく使うと、防災の記憶につながるかもしれない。
彼らの顔、思い浮かぶべて、考えてみなはれ。