散歩道の或る通りに古物商というか骨董商というか、それを兼ね備えた(これは私の解釈)大きな店がある。何年か前、早朝の火災で店舗は新しくなり、店頭の品を見ない限り造りだけでは新しい店に見える。長く見ているが、店内には珍しい品が並んでいる。メダカ用に大きな古い陶磁性のカメを購入したことがある。
そこの店頭では初めて見る代八車の輪(車)が置いてある。珍しいと撮っていると「何の輪ですか」と若いカップルがスマホを向ける。一瞬戸惑ったが「時代物映画で米や炭を乗せて運ぶ長ぼそい車を見たことがあるか」と問うと「覚えがある」という。それに取り付ける車、という迷解説で納得してくれた。取り外せることに驚いていた。
子どものころ我が家にもあった。使わない時は台を外し軒下に掛けていた。使うのは年に何度か、菜園で出来た大根やイモ類などの収穫の時に使った。代八車は前後が上下しシーソーのようで扱いにくかった。その後、リヤカーが普及、空気の入った車は子どもでも動かせた。
「八」は8人分の代わりをする車の意(広辞苑)という。その働きは江戸時代では欠かせない運送の役を担った。昭和になり、リヤカーの登場までは主役だった。その後は軽トラが登場、高齢者を応援している。あの時の若い二人の旅人、時代劇ドラマを見ることがあればスマホ写真を開いて思い出してくれると嬉しい。
(今日の575) 江戸時代 代八車 大重宝