日々のことを徒然に

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広辞苑の補訂版

2018年01月17日 | 生活・ニュース

 昨年5月に亡くなった作家の杉本苑子さんは随想の中で「葬儀も墓も無用、骨は海にでも撒いてしまって欲しい」と書き、続けて、「文学者の墓の自分の名の下に「使い古した『広辞苑』を一冊埋めてくれ」と遺言されたという。広辞苑を引きながら創作を続けられたのだ、そんな姿が浮かぶ。そんな広辞苑第七版が「愛情と信頼に応えて」と銘打って第六版から10年目に発行された。

 持っている広辞苑は1976(昭和51)年12月1日発行の「第二版補訂版」、定価4600円とある。二千数百頁あり、重量はよいしょというくらいの重い。購入の動機は記憶していないが、初版から20年ほど過ぎている。私の本棚で40年以上暮らしたことになる。小さな文字で少々読みずらいが、どのくらい活用したのだろう。繰って見ても傷みはない。

 補訂版の発行は第二版のみで他の版では発行されていない。第二版発行から7年目、第三版はその7年後の発行だから丁度中間にあたる。以後の発行は10年以内だから、補訂が必要となったのだろう。補訂の意味を補訂版で引いてみると「補い訂(ただ)すこと」と短く載っている。新しい言葉や解釈が増えてのことという。その際、編集上の工夫がされ増頁は避けたとある。

 電子辞書を使い始めて何年過ぎただろう。数多くの辞書類が収録され携帯も便利で重宝する。先日その液晶が不良になり買い換えた。広辞苑の第六版を始め数十種類の検索ツールがあり、カラーで音声、図録も豊富と大きく進歩している。補訂を引いてみると「補い訂正すること」に続いて、参考に「補訂版」という説明が追加されている。紙の辞典・辞書を引くことは無くなるだろう。ただ、唯一発行された補訂版は貴重な1冊として本棚に残そう。第六版「阪神淡路大震災」は説明の後、「第二次大戦後の日本で最大の災害となる」と載っている。あれから23年、ご冥福をお祈りします。
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