朝、小雨がぱらつくなか、十数人の若集に担がれて御旅所へ向かう神輿に出合った。ゆっくりとした歩運びの裃姿の先導役の人に続いていく。通りがかりに見送る人が数人。勇壮な神輿の姿ではなく、やはり神の使い、神々しい。
今日はゑびす祭。子どものころにはゑべっさんなどと呼び、賑やかだった。それほど広くない通りの両側に屋台が並んだ。屋台に並んでいた商品、そのころは祭ならでわの珍しい物ばかりだった。大して手にした記憶は無いが、祭は楽しかった。ところが今年は一軒の屋台も出ていない。初めての経験、やはり寂しい。
そんな中、獅子が「商売繁盛を」と各商店をめぐる昔ながらのひとコマにほっとした。
御旅所でおみくじを引く。それは富くじも兼ねており2度楽しめる。おみくじは第四十二番「ひとかたに なびくと見せて 青やぎの ゆくえさだめぬ 人心かな」、その意味は「思うにまかすようで心にまかせぬことがあり 思わぬ幸福(さいわい)ある様でも よく気をつけないと後で 損することあり 女難にことにきをつけなさい」とある。終わりの個所は無縁につき忘れよう。
小吉の運勢、それぞれ納得するが一つだけ。それは学問で「自己を信じ勉学せよ」というありがたい内容。病気(やまい)は「なおる、信心が大切」も記しておこう。
御旅所から10mほど進むと錦帯橋が一望できる。こちらは3連休初日とあってか観光の人、人、人が続いている。雨雲が遠ざかったようで天気は回復、これはゑびす様の御利益にほかならない。富くじは日持ちしそうな菓子ひと箱、お茶のとき頂こう。