リンゴの季節、どこのスーパーにも各地のそれが高く積まれ、あずっぱい香りと色合いを競っている。このリンゴ、皮むきがめんどくさくて、むいてもらえれば食べる、という人も多いとか。そんなせんながりやさんでも「むいてみようか」と思わせる便利な用具を映像で紹介していた。
右手に持った用具を握ったり緩めたりするだけで綺麗にむける。小学生の女の子が使っていたが、むかれた皮は薄くても途中で切れることなく、むき終わったら1本の紐になっている。左手はリンゴを持っているだけ。だれの作か知らないが、見た目は優れものだ。
こんな便利なものが世に出回ると人はより不器用になるのではと思いながら、子どものころの手伝いを思い出した。仕事に出かける母が「今日はジャガ芋をむいておいて」という日がある。その日は学校から帰ると、包丁でジャガ芋の皮をむいた。くぼんだところは包丁の角をあて、回してくり抜いた。ジャガ芋はリンゴと違いでこぼこしている、でも指を切った記憶はない。
この季節、皮をむくといえばもう一つ忘れてならないのは渋柿のそれがある。経験ではジャガイモよりは簡単にむける。冬の陽射しを受けて色変わりするそれをいつ食べれるかと思いながら眺めたころが懐かしい。散歩の途中で見た軒下に干された50個ほどのつるし柿、これはお母さんの手を煩わしているから美味しいこと間違いなし、冷たい風がそういいながらブランコのように揺すっている。