日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

不便さの表側

2012年03月24日 | 生活・ニュース
           

土壁の上に見える柑橘類を眺めながら通りの散策を楽しむ観光地がある。コンクリートのビル群のなかで生活や勤務する人らには、この爽やかな香りと甘酸っぱい味が癒しや和みに連なる、たまらない光景に映るだろう。写真の題材としてもよく見かける。

近くの細い通りを散歩すると、観光地ほど大掛で見かけは整っていないが、色ずいた柑橘類があちこちの塀から顔をのぞかせている。それらの大きさや香りもそれぞれだが、代々受け継がれたその家の歴史と独特の味をともに伝えているのだろう。そう思ってみると古風な家のそれらには貫禄を感じる。

そんな一角に、長い白壁だが所どころその剥げ落ちたところから下地の壁土が顔を見せていた。その黄土色の壁土には数えきれない蜂が開けた穴があり、生き物のたくましさを思わせていた。その壁が綺麗に補修、瓦も今風の物になり一新されていた。塀越しに見える黄色の実は残されておりそのことに安堵した。いつ変わったのだろう。

古くからある街並みには時代を偲ばせる趣があり、訪れた人を喜ばせてくれる。いつまでも残してほしいと思う。こうした街並み保存に反対は少ない。しかし、「その地域や実際に住んでいる自分らには不便さを強いられる」と話した会社員の知人ひと言を思い出す。観光振興、景観保存、遺産登録など諸々の施策の裏側で声を出せない人のあることを知る。

コメント
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