新築から10年目、痛み具合や補修の必要の有無などを住宅メーカーの目で診断を受けた。何の心配もないという結果に安心した。それから年数もすぎ夫婦とも高齢者の範疇にはいると、ここはこうしておけば良かった、これは取り付けない方が良かった、あそこはここはと出てくるが、お金さえ出せば出来るのではあるが、おいそれといかない年金生活。
とはいえ一生涯で1度の家、長く維持するには適度の保守は欠かせない。建ててから18年になる。自分の歳と先々将来のことも考え、外装を化粧直し耐水化をはかることにした。何度かの打ち合わせの後、工事が始まる。
長短大小のパイプが家の平面図に示された位置にしたがって手際良く組み立てられていく。夕方には家はジャングルジムの中へ収まってしまった。ここからの作業にも感心した。足場に合わせてネットが張られる。貼られるネットの寸法に長短があるようだが、そのどれもが足場の縦と横のパイプにピッタリ収まる。これが「計算通り」ということなのだろう。
若い現役のころ、プラント工事で見慣れた足場標識が最後に取り付けられた。しばらくは檻の中ではないが少し薄暗いネットの中の生活になる。さあ、いい日和が続いてくれればいいが、作業にはふさわしくない予報マークがTV画面に並んでいる。急ぎではないが仕上がりは早く見たい。菜種梅雨の雨音が少ししゃくに障る。