ある町をぶらぶらしていたら公営のその場所に「庭球」という文字を書いた掲示板を見つけた。「庭球」と思わず口に出た。辞書を引くと「テニスのこと」と6文字並んでいるだけ。ちなみにテニスの項には詳しく説明がされている。
いまごろ庭球という言葉が生きていることが嬉しかった。中1の時のクラブ活動は庭球部に所属した。立派なコートなどない。木造の校舎と校舎の間の広場に線を引きネットを張ったコート。1年生はそのコートの石拾いで明け暮れた。テニス部とは呼ばず庭球部だった。
ふと思った。同じ球技なのに「卓球」は漢字で通用している。ピンポンとは言わない。辞書の扱いは庭球とは逆でピンポンを引くと卓球と載っており、卓球の項には詳しく説明されている。紙面では卓球と載りテニスと載る。この二つの差、ともに世界的な球技であるにも関わらずどこからきているのだろうか。
3月1日、卓球の最新世界ランキングが発表され、女子は日本勢トップの石川佳純(全農)が前回から一つ上げて自己最高の6位になった。彼女はわが郷土山口県出身で19歳になったばかり。ロンドン五輪への出場が決まっており、開催を楽しみにしている。一方、男子テニスの世界ランキングでは錦織 圭(フリー)が、日本男子最高を更新する18位に入っている。
呼称はともあれ、世界に幾十万といるプレーヤーの中でのランクイン、本人の精進に敬服するしかない。かって米国と中国はピンポン外交で国交のスタートが切られた。五輪の年、世界各地から伝えられる人命を奪い合う争いが治まる年となって欲しい。