日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

老いを忘れて

2012年01月27日 | 生活・ニュース
           

古希をむかえるころ、5年先輩の人が「70を超えると、気分は若くても身体はいつまでもそれに同道してくれない。よく気をつけないと失敗することがある」と自分の体験をしみじみと話してくれた。

300年ほど前、尾張藩の重臣で御用人、大番頭、寺社奉行などの要職を53歳まで務めた横井也有(よこいゆうや)という人がいた。職を辞して82歳でなくなるまで風雅な隠棲生活を送られたという。要職歴任のかたわら学問と武芸にも秀でて俳句や和歌などにも通じた多芸多才な人だった。

その也有の「老いを忘れて、老いを忘れず」という書についてこう解説してある。「年を忘れて若々しい気持を保つことはいいことです。ただし、現実に肉体は老いて、行動にも不都合が出てくる。だから、体の老いを忘れてはいけない。その兼ね合いが難しい」。

もう一人、江戸末期の儒学者、佐藤一斎の「清忙は養を成す。過閑は養に非ず」と残している。「気持ちよく忙しいのがいい。あまり暇すぎるのはよくない」ということだろう。老人が心と体の健康を保つ要件、古今、かわらぬテーマだったことを知る。

「イライラしない」「自分が自分がとあせらない」「自分の現状を受け入れる」「執着せず、柔軟に行動する」も大切という。自分が生き生き出来る世界、そんな社会を見つけ、そこに自分が満足し充実していれば、老いの生活として十分だ。現役時代の名刺はそこにはない。
(ラジオ深夜便 2月号参照)

(写真:万年の命を持つ彼らが老いを知るのはいつだろう)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする