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年長組くらいの男の子が、母親にペットボトル用のごみ箱を確認して飲み干した空容器を入れた。落ちた音を確認するかのような男の子の仕草が何かうれしかった。名勝・錦帯橋付に近設けられたごみ箱のそばでの情景。
なんでもない情景に見えるが、小さな子どものこうした行いをまね出来ない大人も多い。錦帯橋から吉香公園一帯は、年間100万人近くの人が訪れる四季を通じての観光スポット。その一帯を散歩するとき、ごみを集めて歩かれるシルバーの方を良く見かける。空の収集袋は見たことがない。
「旅の恥は掻き捨て」という慣用句がある。誰も知っているその意味は「旅先では知った人がいないから、どんなことをしても恥辱にならない」ことという。そんなことはない。楽しい旅先にごみを散らかせて、旅の何が面白かろうか、と言いたい。
「来たときよりも美しく」という標語は良く見かける。ごみ箱へ空容器を投げ込んだ小さな子どもの仕草、親から教えられ躾られたのだろうか、嬉々としたその顔に金メダルを贈りたいと思った。子どもを見送ったあと、なんだかいい気持で散歩を続けた。
(写真:子どもが空容器を投入したごみ箱、周辺も綺麗だ)