
通りで出会った知人が「障子を張り替えた」と季節感ある声を掛けてくれた。障子、和室に襖ななどとともになくてはならない建具のひとつ。単なる部屋の区切りの役目だけではなく、畳とあわせ安らぎの部屋を演出してくれる。
最近は障子かと思いきや紙の変わりに合成紙がつかわれている。遠目には分からないが、よく見ると雰囲気は違う。やんちゃ盛りの子どもさんの遊び対策としては重宝らしい。汚れれば水拭きも可能とか。それでも桟越しに日はさしこむ。
障子を張り替える時期になると、庭の千両の実が色づき始める。ここ2、3日の冷え込みのせいかその色が増したようだ。といっても、その盛りの鮮やかな色合いにはほど遠い。それでも季節の変わりを感づいている。色が鮮やかになるとしばらくはネットで覆っておく。
小鳥たちはよく知っている。色つやがよくなると、ゆらゆらする枝に止まって赤や黄色の実を上手についばむ。それはタンバリンの上でダンスを踊っているようだ。見ている内はいいが、正月前には全滅となる。しばらくは餌でなく千両らしい姿でおいてやりたい。せっかく実を実らせたのだから。
(写真:色づき始めた千両の実)