
「大豊作のマツタケ」とローカTVニュースで、画面からあふれ出しそうな店頭に並ぶ見事な商品を映し出していた。地域は県の北部。価格は昨年より1万円ほど安い、と説明があったものの、それがどのくらいなものか見当がつかない。豊作なら値が下がる、さて口に入るか否か。
この豊作、全県下でそうあってくれると嬉しいのだが、世間はそれほど甘くないかもしれない。スーパーでは外国産が多く、その値段は少し高めの気がする。東北地方の減産を予測してではないのか、国産が豊作なら間違いなく値下がりするだろう。マツタケどころ広島県も豊作らしい。
豊作は「五穀のよくみのること」とある。次いで作物のできのよいこと、と説いてある。五穀はは人が常食とする5種類の穀物で米・麦・粟・豆・黍などをいう。黍の変わりに稗ともいう。今の時世で粟や黍、稗などを常食にする日本の人はいないだろう。
これらは干ばつや病害虫に強い、水をそれほど必要としないので山間部でも育成が容易、含水率が低いので保存が簡単などから作られたという。それが今日の日本の農業を築きあげた遠い源だったことになる。
先人のこうした知恵が今日の稲作に連なったことを知ると、豊作・豊作と浮かれているだけではすまない。食への感謝の大切さを改めて思う。
(写真:柿も鈴なり、ここには見える豊作がある)