夜明け前の外気に肌寒さを感じた。さわやかな秋が近づいている。パソコン講座に向かう山間部では頭を下げ始めた稲穂が風に揺れている。
パソコン講座受講のおばあさんについてきた男の子は4歳。予備のパソコンでペイントのお絵かきをして遊ばせた。線の引き方、色の選び方、塗りつぶしの3つを教え自由にさせた。手が小さく思うようにマウスは握れないが何とかなる。
講座の間合いに見ると見事な模様を描ている。のびのびとマウスを動かす姿はいっぱしの画家にも思える。新しい画面に切り替えると同じように描いていく。ついて教えたやりたいがそれは出来ない。
マウスを無心に動かす子どもをみていて、あるお母さんから聞いた息子さんの話を思い出した。息子さんは現役の小学校の先生をしておられる。
希望の教師の職に就け喜んでいた。が、最近は教委へ提出する資料の作成に時間をとられ、教師本来の「子どものため」の仕事時間が充分取れない。農作業に変わろうかなどと悩んでおられる、そんな内容だった。
先生の教委向け資料作成が多いという話はやはりそうかと感じた。五輪メダリスト育成ほどの指導は望まないにしても、義務教育の子らの色々な芽を見つけそれを伸ばす教育をして欲しい、目の前にいる子らのために、4歳の男の子の自由画を見ながら思っている。
(写真:男の子の描いた1枚目の画面)