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毎年、午前8時15分「黙祷」を促すサイレンが鳴る。今年も原爆の犠牲となられた方のご冥福を静かに祈る。
あの朝のその時刻、祖母は庭に植えた南瓜の出来具合を眺めていた。突然の眩しい光を浴び弾かれたように家の中に走りこんできた。いま思えは猛烈な恐怖を感じたのだろう。その様子を窓越しに眺めていたことを記憶している。
父はその日のうち公務で広島に向かう。広島から離れる被災した人の波で進めず自転車を押しながら広島へ入ったという。目にした光景を話さなかった。いやあまりに悲惨な状況を話せなかったのだろう、と思う。
ひとつだけ「防火用水桶の中で人も犬も一緒に息絶えていた」という話は記憶に残っている。名称は覚えていないが「原爆の被災模様を伝える展覧会」らしきものに弟と2人を連れ行ってくれた。目にした悲惨な姿を伝えたいという父の思いがあったのだろう。
猛暑を意ともせず平和を願う多くの人が広島に集われている。集われた方の思いはもとより遠くからもそれを祈る人の思いもあわせて、願いが早く成就することを祈る。
(写真:全うしたものの姿は敬虔な祈りにも見える)