日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

朝霧

2008年07月03日 | 生活・ニュース
               

いつものように早朝ウオーク。玄関を開けると湿った生暖かい感触の空気が流れ込んだ。昨夜遅くに止んだ雨の余韻を感じる。街は朝霧に包まれいつにも増して静かだ。

薄墨を流したような空気にいだかれた錦帯橋の気持ちよさそうな寝姿、薄ぼんやりと山頂に見える岩国城などを見ながら右折する。ここから1キロ竹林沿いに進む。

梅雨らしい雨で水かさの増した錦川の川面の鈍い光が見え隠れする竹やぶを、小柄な武士が殺気を漂わせながらひと足ひと足確かめるように上流へ向かっている。

朝霧にかすむ錦帯橋から四分の1里の道しるべが見えたときその武士は半歩右により足を止めた・・・。仕事を終えた小柄な武士、小兵衛は錦帯橋を渡った堀端にある馴染みの蕎麦屋、小次郎の暖簾を押し分けた。

こんなたわいない池波正太郎の世界を空想をしながら朝霧の中を歩く。竹林を過ぎても朝霧でかすんだ風景は続く。突然、場違いな「夜霧よ今夜も有難う」がふと口に出た。

夜明け前のひと時、遮るのは小鳥の声だけなどと悪ふざけしていると、小兵衛の切っ先が舞い降りるかも知れない、ウオークの引き返し地点で空想は途切れた。

(写真:ウオーク折り返し付近の霧の様子)
コメント (4)
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