県道から5分ほどで上りきる急な坂道の上に夏休みで子どもたちのいない小学校。校門の学校名の書かれた木の板にまだ艶の残った大きなセミの脱け殻が数個。それは大役を果たした後の安堵感を感じさせた。
その校門を入ったとこに百葉箱があった。忘れるほど長いこと目にしていない。
周りの緑と白のコントラストがほっとさせる。よく観ると真白なペンキ塗りの鎧戸、小さいが扉に掛けられた鍵、周りには雑草も見えない。子どもたちなのか先生なのかとにかくよく管理されていることが何故だか嬉しい。
いつの間にか汗が引いていた。緑に囲まれた真白な箱の周囲は清涼な風が静かに心地よく流れている。セミの鳴き声も気のせいか暑さを感じさせない、不思議に思う。
駐車場に車が1台、当直の先生だろうか。静かな高台の小学校、百葉箱がいつまでも綺麗であてっと願いながら足元を注意しつつ坂道を下りる。下りながら小学生のとき背伸びしながら百葉箱を覗き、気温や湿度を記録したことを思い出した。
県道は真夏の暑さだった。
(写真:懐かしかった百葉箱)