隣には幾本もの庭木が植わっている。我家の窓辺に近いところに、根廻1メートル近いくろがねもちがある。夏は濃緑の葉が茂り日陰になり、気持ちよい風も運んでくれる。数日前からの朝方、この木でセミの声が一段と大きくなった。
我家の小さな庭でも毎年幾匹かのセミの抜け殻を見かける。隣家の声に促され探した。小さなくろがねもちの2メートルほどの高さに1匹見つけた。今年も来てくれたか、ほっとした。根元に直径2センチで数センチほどの深さの穴があった。ここから夜半にやってきたのだろうか。
抜け殻を参考に調べてみた。大きさ、形、色などから「クマゼミ」だろうと考えた。
クマゼミの鳴き声は「しゃい・しゃい・しゃい」と聞こえる。資料によるとこれは合唱するときで、単独では「わし・わし・わし」と聞こえるそうだ。7月中旬から9月上旬に成虫として出現、日本に広く分布するようだ。
大型で全体が黒びた体に透明な羽が印象に残っているセミ。小学校時代の夏休みの絵日記には2度も3度も登場したのではないだろうか。子供には人気の高いセミだった。
夏の暑さを倍増させるセミの鳴き声。そのセミは、土中に7年外に出たら全力で鳴いて1週間といわれる一生。短くても精一杯生きるセミ、万物の霊長とうたう人の世もセミに見習うところ多し。というものの、今夜は納涼ビヤパーティー。硬いことは抜きにおいしく楽しくいただこう。
(写真:今年初めて庭で見つけた抜け殻)