みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

強い者、弱い者

2013年01月05日 | 創世記
創世記4章


 「強い経済を」「強い日本を」という新しい政権のかけ声に答えるように、年末年始、株式市場は久しぶりに株価上昇で沸いた…ということばが新聞に踊っています。
 「落日の日本」「日本はすでに二流国」などとされ、高齢化だ、不況だと将来の不安ばかりが大きくなっているように見える昨今のこの国で、総選挙で人の心を捕らえるのは脱原発ではなくて経済だということを、政権を奪取した人々は熟知していたということなのでしょうか。

 追放されたエデンの東で人はどのような営みをしたのか、それが4章に描かれていることです。そこには、「みことばの光」がアウトラインでまとめているように、厳しい「結婚の現実」「兄弟愛の現実」「復讐心を増幅させる人間の現実」があります。

 17ー24節には、カインの子孫が並びます。その中で最も多くを費やしているのはレメク。その名の意味は「強い者」だそうです。確かに彼はふたりの妻を持ち、子どもたちは生業(なりわい)をもち、自分を傷つけた者を死によって報いるという強さを物語っています。

 他方、25、26節では、アベルを失ったアダムとその妻の間に、セツが生まれ、さらにエノシュが生まれたと綴られています。エノシュとは「人」という意味で、弱さやもろさを表わしていることばだそうです。「強い者」レメクと対照的な存在です。そして、エノシュのときに「人々は主の御名によって祈ることを始めた」のです。
 弱さゆえに、主の御名によって祈るようになる、神の前に罪を犯した人間があるべき姿が、エノシュに込められているように受け取りました。
 
 ちなみに、ある聖書講解は17ー24節に「神なき文化」、25、26節に「神を中心とした文化」」という見出しをつけています。


  


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