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夏目漱石『門』

2013年08月12日 22時23分27秒 | 文学
夏目漱石『門』(新潮文庫)を読んだ。
こういう本は、もうだいたい昔読んだときの印象の確認と検証になってしまう。
今回は、禅寺に行っている間の話が思っていた以上に短いなと感じた。もっと早い段階でお寺に行って、何日も何日もこもってああでもないこうでもないと橋本治のように(分かる人だけ分かればいいです)悩むのかと思っていた。
それと安井と、主人公宗助と妻御米との三角関係についても、もっと詳しい話があるのかと思っていたら、あまり詳しくはなく、そこは『それから』参照みたいな感じで、勝手に想像しろというような描かれ方だった。
いったい何があって、どうして宗助はそこまで安井に会うことを恐れるのか、『門』を読んだだけではよく分からない。たぶん、そこには漱石的な三角関係があったのだろうと、みんなが思うから描かれていなくても描かれていたような気になる。
吉本隆明の『夏目漱石を読む』では、子供のいない夫婦を描いた傑作で、一番好き、というような言い方をしているが、たしかに子供のいない夫婦のせつなさがよく書けていると思った。夏目漱石自身は子沢山だったと思うのだが、よくその気持ちが分かるものだと思う。
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