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遠藤周作『切支丹の里』

2023年06月05日 00時22分31秒 | 文学
遠藤周作『切支丹の里』(中公文庫)を読んだ。長崎特集の三冊目。
すべてエッセイまたは紀行文かと思っていたが、小説が二つ入っていた。「雲仙」と「母なるもの」のどちらも過去の記憶や歴史と現在が重なっていく感じがうまいと思った。小説は適当に読んでいたのに結局小説のほうがおもしろかった。
長崎の大浦天主堂などは、江戸時代初期のキリスト教弾圧があったのになんで建物が残っているのだろうとなんとなく不思議に思っていたが、幕末または明治に入ったあたりに南蛮人のために建てられたということがこの本に書かれてあってわかった。なんでもきちんと調べてみたほうがよい。たぶん何も調べずに大浦天主堂に行っても説明文などは何も読まずに、「ああ見た見た」で終わっていたことだろう。

遠藤周作の、自分を「弱虫」として、過去の「弱虫」たちに自分を重ね合わせる感じがどうにも違和感がある。
はっきりとどこがどう違和感があるともまだ言えないのだが、世界を強者と弱者に簡単に分けてしまう感じと、自分を弱虫ですよと誇らしげに言う感じがたぶん私には気に食わないんだろうな。
一升瓶を挨拶代わりに持っていくのも、これは時代なのだろうが気に食わない。
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