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☆斎藤美奈子「物は言いよう」感想

2006年06月25日 22時08分40秒 | 文学
物は言いよう本当は丸谷才一の「輝く日の宮」を読んでからにしようと思ったが、図書館で借りてきてぱらぱらとめくっているうちに読み終わってしまった。斎藤美奈子の「物は言いよう」(平凡社)です。
同じ著者の「妊娠小説」(ちくま文庫)のなかで、近代現代文学の主人公たちがなぜだかコンドームを使わないという記述を読んで、こんなことを今まで誰も言わなかったと思い、たまげて、気にはなっていたけれど、いままで他のものは読まなかった。
いろいろな人の、フェミニズム的にまずいのではないかという発言を取り上げて、おもしろおかしく論評するという形式のもの、でした。
取り上げられているのは、作家であれば江藤淳、渡辺淳一、丸谷才一、村上春樹などです。
丸谷才一の悪口というのはいつから解禁になったんだろう。江藤淳が「自由と禁忌」を書いてからだろうか。だったら江藤淳に感謝!
この本は、おもしろいけれど、続けて他の著作を読もうという気にまではさせなかった。
斎藤美奈子は行くところまで行っちゃってはないなあ、もっと期待したけれど、というのが今回の感想。

「ついでにいうと、「フェミニスト」という呼称は自己申告制が原則である。「×××さんはフェミニスト」と第三者が勝手に呼ぶのも失礼になることがあるので気をつけられたし。」(294ページ)

こういうところを読むと、なんでこんなことを言うんだろう、何を恐れているんだろう、そんなことを禁じ手にしなくても、って気になる。うんざりしてる気持ちは判らなくもないが、こんなこと言わなくてもいいのになあって思った。
江藤淳が吉本隆明との対談で、自分は保守と呼ばれるが、そういうことは周りが決めることで自分が何をどのように考えるかとは関係がない、というような発言をしていたがこれと対照的だと思う。
敢えて言わせてもらえば、僕の見るところ、斎藤美奈子はフェミニストでしょう。それは江藤淳が保守であるのと一般だ。
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